万国漢字志

都市篇 · スペイン

万国漢字志 都市篇 第三百五十六号|ア・コルーニャ――名前の重なりと「科魯尼」――

ア・コルーニャの地名と現代中国語の用例を比較し、本誌の暫定案を考える。


一つの都市、異なる名前

ア・コルーニャはスペインの自治体 Coruña, A を指します。現地の名、日本語での呼び名、別の言語による漢字表記を照らし合わせると、一つの場所にも異なる呼び方が重なっていることが分かります。


歴史表記

市の解説は、1208年にアルフォンソ9世が町の建設・再入植を命じたとし、当時の Crunia が現在の旧市街の一部と港沿いの小地区だったと説明します。これは市による歴史解説で、当時の文書原本を実見したものではありません。 日本語の歴史的な漢字表記も、現時点では原典未確認です。歴史解説に見えるラテン文字の地名と、後世の漢字用例を混同しないようにします。


日本語での用例

スペイン観光公式サイトの日本語版を参照し、本稿では「ア・コルーニャ」と呼びます。現地語の綴りや別の言語による名前を、そのまま別の自治体として数えるわけではありません。


中国語圏その他の表記との比較

上海海事局が掲載する船舶油濁損害賠償基金の資料には、1976年の事故の場所として「西班牙拉科鲁尼亚的港」とあります。これは現代中国語の港名を含む用例で、都市の歴史的漢字表記とは区別します。

本誌の採用案は「科魯尼」です。出典の表記「拉科鲁尼亚」から、「鲁」を日本語で用いる「魯」に改め、前後の「拉」「亚」を省きました。 こうした変更を伴うので、確認した字形のままの既存表記を意味する「既」ではなく「改」とします。


二文字・三文字案の比較

科魯尼

出典の表記を手がかりに、日本語で用いる字形と三字の長さを優先した案です。短い一方で、元の綴りや発音を完全には表せません。

拉科魯尼亜

中国語表記の五字を日本語で用いる字形に直した案です。元の表記との対応は明瞭ですが、三字の標準を超えます。

古留尼

コ・ル・ニを手がかりに本誌が作った三字案です。既存用例は確認していません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

ア・コルーニャ(Coruña, A)

所属国

スペイン

暫定制定都市名

科魯尼――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

INEの年次センサス表68065では、2025年1月1日の通常居住者人口は 251,277人 です。自治体コード 15030、Coruña, A の municipio 全域を対象とし、中心市街地だけや周辺自治体を合算した都市圏は数えていません。自治体の中の地区や集落も、別の自治体として重ねて数えません。


採らなかった表記と未解決点

「科魯尼」は冠詞に相当する部分と末尾を省くため、原名の全音を表しません。ア・コルーニャのカナを添えます。 漢字の歴史的用例の原典と、現代表記の初出・命名者は確認できていません。比較のために作った案を、歴史上使われた表記とは扱いません。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇

第三百五十七号はエルチェを取り上げます。