前号と同じ紙面の、第三条
前号クペレ・アデタの県庁所在地を定めた法律には、Afagnaganもあります。今回はその名を、住民登録の拠点一覧へ持っていきます。すると、よく似たAfagnanが別の小郡欄に現れます。綴りが似ているからといって、すべてを同じ町の別名にまとめることはできません。
未収録候補として比較したのは、既刊クペテ・ベナと同じ観光省の調査記事に載るGbalédjéです。滝と集落の関係を調べる価値がありますが、その記事だけでは都市としての範囲を定められません。Afagnaganでは、法律・登録拠点・人口統計を比較できました。前号と同じ行政再編の記録から、地名の指す範囲という別の問いへ進めることを選定理由とします。人口表で前号の次に並ぶことだけを理由にはしません。
日本語索引にはアファニャガンを暫定的に置き、漢字案を阿芙尼耶賀恩とします。以下の欧文用例は資料の記録、日本語転写と漢字案は本誌の提案です。
歴史表記|1971年の学校一覧
1971年10月16日付『トーゴ共和国官報』の印刷562頁(PDF10頁)に、1971〜72学年度の公立小学校の設置場所を定める、同年8月24日付の教育省令第13-MEN-DPE号があります。
右欄のアネホ行政区の農村学校一覧では、2番がAfagnagan、3番がAfagna Blettaです。原頁画像で二つを別々の行として確認しました。似た綴りを区別する必要は、現在の登録一覧だけの問題ではありません。
この記録から分かるのは、2009年の行政再編より38年前に、Afagnaganという欧文形が学校の設置場所として載ることです。町名の初出を突き止めたわけではありません。また、当時の「農村学校」という分類を理由に、2022年の都市別統計からこの町を除くこともしません。学校の分類、年代、人口の集計区域は別々に扱います。
法律のAfagnanとAfagnagan
2009年12月3日法律第2009-027号の印刷10頁左欄を原頁画像で確認しました。第一条はAfagnanなどの副県を県へ昇格させ、従来の管轄区域を保持するとしています。新しい県名の一つがBas-Monoです。
第三条は、その県庁所在地をAfagnaganと定めます。第一条の行政区画名と、第三条の中心地名では綴りが違います。同じ法律に二つの形があることを記録し、一方を誤植と決めつけて直すことはしません。
第二条には既刊クニョウ、第四条には前号クペレ・アデタ。別々の町が、一枚の行政再編の紙面でつながります。ただし、法律の日付は町の創建年や命名年ではありません。確認したのも日本語の歴史的漢字形ではなく、欧文の地名用例です。
登録先の一覧は、別の欄を持っている
国家身分証明機関ANIDの「Maritime zone1」登録拠点一覧は、県、自治体、小郡、集落、拠点を分けています。
バ・モノ県、バ・モノ1自治体の下では、小郡欄と集落欄の両方にAFAGNAGANが入り、学校や市場が登録拠点として列挙されています。一方、小郡欄がAFAGNAN、集落欄がAFAGNAN-GBLETAとなる別の行もあります。
同じ文字列が何行も繰り返されるのは、拠点一覧の構造です。その回数を集落数や人口へ読み替えることはできません。また、小郡AFAGNAGANの下には別名の集落も載るため、小郡全域と町は同じ範囲とは限りません。
トーゴ通信社ATOPの2023年4月18日記事も、AfagnaganとAfagnan-Gblétaを別々の小郡として挙げ、バ・モノ1自治体の中心をAfagnaganと説明します。短い綴りを見かけるたびに、機械的に町の別名へ吸収しないための手掛かりです。
日本語・中国語圏の用例と、暫定転写
今回の検索では、この町に直接対応する日本語の歴史的漢字形、公的資料の定着したカタカナ形、中国語圏の公的な漢字形は確認できませんでした。未発見を、存在しないという断定にはしません。
アファニャガンは、法律と統計にあるAfagnaganをフランス語式の綴り対応から近似した、本誌の暫定転写です。Afaをアファ、gnaをニャ、ganをガンという日本語索引上の区切りに置きます。末尾のンも、現地の音節末子音を聴き取った結果ではありません。
ケベック州フランス語局のgnの解説は、一般に[ɲ]となる一方、[gn]となる語もあると説明します。ニャという近似を置く際の参考であり、この固有名の発音を保証する資料ではありません。
町名全体の現地音源は未取得・未聴取です。声調、母音の鼻音化、語末の実現、地域や使用言語による違いは未確認です。フランス語の一般則を現地語の規則として移すことも、公的な日本語採用形だと述べることもしません。
二字・三字と、全体を残す案
阿賀・阿芙賀
二字の阿賀、三字の阿芙賀なら短く書けます。しかし、ニャや末尾のンの目印がなくなります。標準の字数へ合わせるために、地名の内側を落とす案は採りません。
阿芙娘賀恩
五字案です。娘の字音ニョウを手掛かりにできますが、ニャと一致しません。女の子という字義を、町や住民の性質、地名の由来へ結びつける根拠もありません。今回は比較案として残します。
亜芙尼耶賀恩
冒頭を亜とする六字案です。アの目印にはできますが、阿に替えることによって失われる地名情報はありません。字義による優劣をつけず、今回は阿を選びます。
阿芙尼耶賀恩
六字全体にアファニャガンという指定読みを置く案です。阿のア、芙のフ、尼のニ、耶のヤ、賀のガ、恩のオンを音の目印にします。ただし、フはファではなく、ニヤはニャではなく、オンはンではありません。通常字音をそのまま連ねて読める表記ではなく、当て字として読みを指定します。
採用理由は、暫定転写の前半・内側・語末をそれぞれ意識できる形を保つことです。六字が現地語の六音節を写すという意味ではありません。現地音を確認した際には、日本語転写と漢字案を一緒に再検討します。漢字の先例が見つからないことだけを理由に創案を止めず、区分創として提案します。
13,046人は、県や自治体の人口ではない
INSEED『ANNUAIRE STATISTIQUE NATIONAL 2022』表3.21、印刷33頁(PDF51頁)の原頁画像では、Afagnaganの男性は6,136人、女性は6,910人、合計は13,046人です。内訳の和も一致します。都市別居住人口として、2022年のこの数値を採ります。
同年鑑ではバ・モノ県は94,860人、バ・モノ1自治体は55,382人です。県庁所在地だからといって、県の全住民を町の人口に加えません。町の統計上の集計区域と自治体境界の詳しい対応は、なお確認が必要です。
位置にはGeoNamesの2368490公式RDFの北緯6.48333度、東経1.65度を索引用の代表点として暫定的に採ります。登録名はAfanyangan、別名にAfangnagan、Afagnagnanなどがあり、国コードTG、居住地分類P.PPLです。法律の綴りと完全一致する名前ではないため、異綴りを含む位置対応として扱い、町の境界を保証するものとはしません。
同じ公式配布データには、別の座標にAfagnanという居住地区レコードもあります。名称検索で最初に出た一点を採らず、近隣のAfanyan Blétaとも区別しました。地名レコード同士の厳密な行政対応は継続調査とします。RDFにある人口8,912人は基準年不明なので、13,046人との差を人口増加とは読みません。
外務省の基礎データが示すトーゴの首都はロメです。Afagnaganは県庁所在地であり、国の首都ではありません。
万国漢字志の暫定案
暫定日本語都市名
アファニャガン
原綴り・所属国
Afagnagan/トーゴ
暫定制定都市名
阿芙尼耶賀恩
指定読み
アファニャガン
制定区分
阿芙尼耶賀恩――創
制定状態
暫定制定・原典継続調査
命名者・命名年・語源は認定しません。一字略称も制定しません。
採らなかった表記と未解決点
阿賀・阿芙賀は省略が大きいため不採用。阿芙娘賀恩と亜芙尼耶賀恩は比較案として残します。日本語の歴史的漢字形、中国語圏の直接用例、現地音、地名の初出は継続調査です。
法律の行政名、登録一覧の小郡名、町名の関係も、綴りだけで確定させません。位置の異綴り対応は暫定であり、政府の地図や自治体資料による精密な照合を次の課題にします。
参考資料
- トーゴ法律第2009-027号、2009年12月3日。印刷10頁、第一・三条。回収済み原頁画像で確認。
- 『トーゴ共和国官報』1971年10月16日号。印刷562頁(PDF10頁)、教育省令第13-MEN-DPE号、アネホ行政区の農村学校一覧2・3番。回収した原頁画像で確認。
- ANID「Liste d’enregistrements Maritime zone1」。県・自治体・小郡・集落・拠点の各欄を確認。
- ATOP「Cartes postales des prefectures du Togo」、2023年4月18日。バ・モノ県の節。小郡名と自治体の中心地。
- INSEED『ANNUAIRE STATISTIQUE NATIONAL 2022』。表3.21、印刷33頁の都市人口は原頁画像で照合。県・自治体人口は抽出本文でも確認。
- GeoNames 2368490公式RDF、トーゴ公式配布データ。直接回収し、名称・別名・分類・代表点と近隣レコードを確認。人口基準年は未確認。
- ケベック州フランス語局「Prononciation de la suite de lettres gn」。一般的な綴り対応。町名の現地発音資料ではない。
- トーゴ観光省、Kpètè BènaとGbalédjéの滝の調査、2021年12月30日。候補比較。
- 外務省「トーゴ共和国基礎データ」。首都ロメ。
(2026年10月15日調査。町名全体の現地音源は未聴取。)
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。
都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。
次回予告|都市篇 第百十九号
同じ法律の第九条にあるDjarkpangaと、滝の調査にあるGbalédjéを比較します。既刊とのつながりに加え、地名が指す集落・行政区域・自然地形を区別できる資料から次の対象を選びます。
