地名記録にある四文字
トーゴの都市人口表を読み進めると、続きの頁の先頭にAmlaméがあります。本稿では日本語名をアムラメと仮置きします。現地発音や日本語の公的統一形を確定したという意味ではありません。
この町のGeoNames記録には、中国語の別名として「阿姆拉梅」が登録されています。漢字を見つけたことと、日本語の歴史的漢字表記を見つけたことは、同じではありません。今回は、その四文字がどのような資料の、どの欄にあるのかから考えます。
表の続頁で確認する町の人口
INSEED『ANNUAIRE STATISTIQUE NATIONAL 2022』の表3.21は、2022年のトーゴ都市別居住人口を男女別に示しています。表題は印刷33頁(PDF51頁)にあり、Amlaméの行は印刷34頁(PDF52頁)に続きます。
原頁画像で確認した数は、男性3,885人、女性4,111人、合計7,996人です。足し算も一致します。表末尾の出典はINSEED、RGPH 5、2022年人口空間分布資料です。
採るのは、この表が都市Amlaméとして数えた居住人口です。県全域やコミューン全域の人口ではなく、2026年の現在人口でもありません。都市統計の範囲が行政境界とどのように対応するかは、今回の頁だけでは確定できません。
頁の途中から表を読めば、表題と対象年を見落とすことがあります。Amlaméの数値だけを抜き出すのでなく、前頁の表題と続頁の出典を一組として残します。
座標と別名は、それぞれの欄から読む
GeoNames公式RDF、識別番号2368035は、名称をAmlamé、国コードをTG、地物分類を居住地のP.PPLとしています。代表座標は北緯7.46667度・東経0.9度です。これは町の位置を示す点で、町域の輪郭ではありません。
同じ記録の人口は9,870人ですが、人口の対象年は記されていません。文書の更新日を人口調査年に読み替えることもできません。本稿では年次と集計対象が分かるINSEEDの7,996人を採用し、二つの数の差を人口増減とは説明しません。
外務省「トーゴ共和国基礎データ」が示す国の首都はロメです。アムラメは国の首都ではありません。地方行政上の役割の確定は、別途行政資料を確認する課題として残します。
歴史表記と日本語での用例
今回の一次資料で確認した都市名の綴りはAmlaméです。日本語の歴史的漢字表記、漢字による先行使用・提案は、現時点では原典未確認です。先例が存在しないと結論したわけではありません。
日本語検索では「アムラメ」という形が見つかりましたが、公的な地名資料の掲載形や発音の根拠までは確認していません。本稿のカタカナ形は仮置きとして原綴りを併記します。現地発音、語源、都市の命名者と命名年も未確定です。
中国語圏その他の表記との比較
GeoNamesの別名欄では、中国語を表す言語指定zhとともに阿姆拉梅が登録されています。これは地名データベースへの登録例として確認できます。ただし、中国大陸または台湾の公的地名資料に採用されたことまで、この欄からは分かりません。両地域の公的掲載形は未確定です。
別名にはEmlaもありますが、この登録だけでAmlaméとの語源上の関係を確定することはできません。別名を記録することと、その成立事情を説明することを分けます。
阿姆拉梅も、日本語の史料に現れた表記としては扱いません。言語指定のある別名から、日本語での歴史的使用を推定しないためです。
二文字・三文字案の比較
以下は、確認済みの掲載形ではなく、万国漢字志が今回作る試案です。
亜梅
二字に縮める案です。しかし、アムラメの中ほどが文字から追いにくくなります。短さだけを優先すると、原綴りとの対応を説明する負担が大きくなるため、今回は採りません。
亜羅梅
三字案は亜羅梅です。ア・ラ・メを目印として置き、アムラメという読みは三字全体に添えます。「ム」を独立した字で表しておらず、梅の通常の字音をメとする主張でもありません。通常の音読みを連ねれば自動的に都市名になる表記ではなく、本誌が読みを指定する当て字です。
二字案より読みの手掛かりを残せるため、こちらを暫定選定します。中国語別名の阿姆拉梅を日本語向けに改訂したと認定するのではなく、本誌の新しい提案として制定区分は創とします。字に梅があっても、町の植生や地名の由来を意味しません。
万国漢字志の暫定案
現代日本語都市名(本誌の仮置き)
アムラメ
原綴り・所属国
Amlamé/トーゴ
暫定制定都市名
亜羅梅
読み
アムラメ(三字全体に対応させる本誌の当て字)
制定区分
亜羅梅――創
制定状態
暫定制定・原典継続調査
一字略称は制定しません。日本語の漢字先例が見つかれば、文字と制定区分を再検討します。
採らなかった表記と未解決点
亜梅は省く部分が多いため採りません。阿姆拉梅は中国語別名の登録として記録し、今回の日本語暫定案とは分けます。
日本語の定着形と歴史的漢字表記、中国大陸・台湾の公的掲載形、現地発音、語源と命名者、都市統計の境界は継続調査です。別名Emlaの成立事情と、年次不明の人口9,870人の条件も未確定のまま残します。
漢字が四つ並んでいても、それがどの言語の用例なのかは資料の欄まで見なければ分かりません。今回は登録された別名をその範囲で記録し、提案する三文字には創案という印を付けます。
参考資料
- INSEED『ANNUAIRE STATISTIQUE NATIONAL 2022』。表3.21、印刷33~34頁(PDF51~52頁)。表題、Amlamé行、表末尾の出典を原頁画像で確認
- GeoNames、Amlamé(2368035)公式RDF。名称、国コード、居住地分類、座標、中国語指定の別名阿姆拉梅と別名Emlaを確認。人口9,870人は対象年不明のため不採用
- 外務省「トーゴ共和国基礎データ」。国の首都ロメを確認
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。
都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。
次回予告|都市篇 第百七号
次回もトーゴの都市人口表にある未収録都市を候補とし、地名と人口の対象範囲を原資料で確認してから選びます。
