万国漢字志

都市篇 · トーゴ

万国漢字志 都市篇 第八十六号|アタクパメ――都市を指す四字を保つ

トーゴのアタクパメ。日本語の本文用例と中国語の都市名を確認し、既存の四字形・阿塔帕梅を暫定案とする。

以前のnote記事を読む

ソコデからアタクパメへ

前号で調査候補に挙げた、トーゴのアタクパメ(Atakpamé)。今回の地名は、雨の分布を示す日本語報告書と、水利事業の開工式を伝える中国語記事に現れます。

都市名を探すとき、記事の題名に漢字が見えるだけでは、その字が都市を指すのか、施設を指すのかが分かりません。今回は本文の開催地まで読み、阿塔帕梅という四字を確認します。


日本語本文と図にある名前

JICA公開報告書の印刷2-37頁(PDF21頁)は、トーゴ各地の降雨を説明しています。本文には「プラトー州アタクパメで」とあり、同頁の図2-20には、降雨グラフの「Atakpame」と地図上の「ATAKPAME」があります。カタカナ名を報告書の題名から推測したのではなく、本文と図を原頁画像でも照合しました。

図と説明は、ロメ、アタクパメ、ダパオンについて2000~2008年の収集資料を使ったと記しています。これは当時の調査の説明です。そこに載る降雨量を、現在の気候の値として読み替えることはしません。本稿では、日本語名と英字名を確かめる資料として使います。

日本語のアタクパメと、統計資料のAtakpamé。アクセント記号の有無を含む表記の違いはありますが、調査で読む資料ごとの形を残します。英字の綴りだけから、漢字の日本語読みが実証されたとすることも避けます。


歴史的な漢字表記は継続調査

今回、日本語の地理書や地図で使われた歴史的な漢字都市名は、原典で確認できていません。確認できたカタカナ名と、中国語の漢字名を、日本語の歴史表記へ移すことはできません。

未確認という調査状況は、過去に漢字表記が存在しなかったという結論ではありません。日本語史料の用例は引き続き探します。


開催都市を指す「阿塔帕梅」

中国外交部が掲載する駐トーゴ大使館の記事は、2024年12月19日の農村水利事業の開工式を報じています。ページの表示日は翌20日です。本文の第1段落に「在多高原区阿塔帕梅市举行」とあり、高原区のアタクパメ市で開催されたと記します。

ここで阿塔帕梅は、都市を示す「市」を伴った開催地です。事業名の一部を都市名と取り違えたものではありません。また、開工式の報道を、事業が完成したことの根拠にはしません。

この用例から確認できるのは、中国語の公的な報道本文で四字形が使われていることです。中国語圏全体の唯一の標準形、表記の初出年、選字した人物まで確認できたわけではありません。台湾など他の地域の表記も、今回の採用根拠には加えていません。


二字・三字に縮めるか

本誌は都市名の二字・三字を標準としています。しかし、今回確認した直接用例は四字です。二字または三字に短縮して都市を指す、信頼できる資料の用例は確認できませんでした。

字を省けば、既存の表記を紹介することから、本誌が別の形を作ることへ判断が変わります。今回は短縮案を新作せず、資料にある四字を保つ例外とします。短くすることよりも、どこまでが確認済みの使用例なのかを追えることを優先しました。

「阿」「塔」「帕」「梅」の字義を組み合わせて、町の風景や地名の由来を説明する根拠もありません。字の意味と、その字が地名に選ばれた理由は分けて扱います。


人口を数えた年と範囲

トーゴの統計当局INSEEDの『ANNUAIRE STATISTIQUE NATIONAL 2022』は、表紙に2023年12月とあります。表3.21の印刷33頁(PDF51頁)には、Atakpaméの男性4万7,944人、女性5万249人、合計9万8,193人が載ります。人口の年は表題にある2022年です。刊行年の2023年や現在の人口としては扱いません。

対象は、表題の「population résidente des villes」、すなわち都市の居住人口です。都市別集計のアタクパメの値として採り、オグー県全域や自治体全域の人口とは扱いません。集計した都市の詳しい境界と、自治体の境界との対応は未確認です。

表は翌頁へ続き、印刷34頁(PDF52頁)の末尾に、INSEEDの第5回人口・住宅国勢調査(RGPH 5)、人口の空間分布、2022年という出典が明記されています。今回の確認は、この年鑑の表題、該当行、続頁の出典をテキストと原頁画像で照合した範囲です。出典として挙がる別冊の集計報告書そのものや、境界図まで照合したという意味ではありません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

アタクパメ

所属国

トーゴ

暫定制定都市名

阿塔帕梅――既

制定状態

暫定制定・日本語の歴史的漢字用例と選字の経緯は継続調査

「既」は中国語資料に既存の都市名の用例があることを示します。その四字形を本誌の日本語の都市索引に採るのは、万国漢字志の暫定的な提案です。日本語で定着した漢字名を発見したという主張ではありません。

位置の目安は、GeoNamesのトーゴ検索結果にある、プラトーの行政区域庁所在地Atakpame(識別番号2367886)の北緯7.5333333度・東経1.1333333度です。検索結果には別の同名集落もあるため、名前だけで選ばず所在地と項目の種類を確認しました。この都市点は人口を数えた区域の境界を示しません。外務省の基礎データが記すトーゴの首都はロメであり、アタクパメは国の首都として扱いません。


残る確認事項

日本語の歴史的漢字表記、漢字形の初出と選字者、現地名の語源・命名者は未確認です。人口集計の都市境界も引き続き確認します。

今回の採用を支えるのは、JICAの日本語本文・図、中国外交部掲載記事の開催地の記述、INSEED年鑑の都市人口表です。中国語記事は掲載本文のテキストを読み、PDF資料は該当頁を画像でも照合しました。未取得の史料や検索結果の断片は、確定した別表記として並べていません。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。

都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。


次回予告|都市篇 第八十七号

次回の都市は調整中です。日本語名と漢字の都市直接用例を確認してから、調査対象を決めます。