万国漢字志

都市篇 · イタリア

万国漢字志 都市篇 第三百二十九号|ベルガモ――丘の上の城壁と「貝加莫」――

ベルガモ市の条例と考古博物館の展示から街の来歴をたどり、現代の貝加莫表記を確認する。


丘の上の城壁と「貝加莫」

ベルガモ市の条例は、市域の特徴を挙げる条文で、丘の上の旧市街と城壁を取り上げています。前文の沿革によれば、ヴェネツィア支配下でこの城壁の建設が始まったのは1561年です。その丘には、さらに古い街の跡も残っています。


歴史表記

市立考古博物館は、ローマ時代の都市を Bergomum と呼んでいます。展示室の解説には、市民プブリウス・マリウス・ルペルキアヌスを記念する碑文の紹介もあります。Bergomum は博物館が古代都市を指して使う形です。地名そのものの初出と、日本語の歴史的な漢字表記は原典未確認です。


日本語での用例

国立西洋美術館の《楽器のある静物》の所蔵品ページでは、画家エヴァリスト・バスケニスの生没年に添えて、和文に「ベルガモ」、欧文に Bergamo と記しています。作品解説でも、画家が活動した街としてベルガモが出てきます。


中国語圏その他の表記との比較

台湾の国防部サイトに掲載されたイタリアでの防疫活動に関する論考には、野戦病院の設置先として「貝加莫(Bergamo)市」とあります。中国大陸では、西安外国語大学国際学院の大学一覧に「贝加莫大学」と Università degli studi di Bergamo の併記があります。こちらは大学名での簡体字の用例です。


二文字・三文字案の比較

貝莫

中央の加を省く二字案です。「ガ」に当てる手掛かりが減り、資料にある三字の形も崩れます。

貝加茂

末字を茂に替える三字案です。茂は字音の「モ」を手掛かりにできますが、現代資料に見える末字は莫です。

貝加莫

台湾の資料に見える三字を保つ案です。貝の字音は「バイ」で、「ベル」を字面から取り出すことは難しく、加も「ガ」とは限りません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

ベルガモ(Bergamo)

所属国

イタリア

暫定制定都市名

貝加莫――既

制定状態

暫定制定・原典継続調査

「既」は現代の既存用例の字形を採ったことを示します。本誌では「ベルガモ」と読みを添えます。

ISTATの2024年人口収支確定表によると、2024年12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は120,389人です。2025年1月1日初に相当し、自治体コード016024のコムーネ全域を対象とします。丘の上の旧市街だけを数えた値や、ベルガモ県全体の人口とは区別します。


採らなかった表記と未解決点

貝莫と貝加茂は比較案にとどめます。古い地名形の初出と、「貝加莫」を含む日本語の歴史的な漢字用例は引き続き調べます。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第三百三十号

人口選定資料の次の掲載順はトレントです。