万国漢字志

都市篇 · スペイン

万国漢字志 都市篇 第三百六十三号|カルタヘナ――都市の名と漢字の字形をたどる――

Cartagenaの資料を読み、自治体人口と漢字表記を区別して考える。


一つの都市を、異なる文字で

スペインの自治体 Cartagena。現地の名前と中国語の用例を見比べ、日本語で使う漢字の字形を考えます。人口は都市圏ではなく、この自治体全域を対象とします。


歴史表記

ポリュビオス『歴史』第10巻10節は、英訳で「New Carthage」と呼ぶ町の湾と地形を描写します。これは古代の叙述を英訳で確認したもので、ギリシア語原文や写本の字形を実見したという意味ではありません。カルタヘナ市の歴史解説は、ローマ期の地名を「Carthago-Nova」と記します。古代の市街地と現在の自治体全域は同一範囲ではありません。

日本語の歴史的漢字表記は、原典未確認です。現代用例から過去の字形を作り出すことはしません。


日本語での用例

スペイン観光公式サイトはムルシア州の都市を「カルタヘナ」と呼びます。同名のコロンビアの都市とは国と自治体コードで区別します。


中国語圏その他の表記との比較

ムルシアのUCAM大学の中国語案内は、自らの校区を「卡塔赫纳校区」と記します。また青島港国際の募集資料は、親会社の青島港集団が2018年上半期に「西班牙卡塔赫纳港」と友好港協定を結んだと記しています。校区や港の用例から自治体人口を推定することはしません。

本誌では原文「卡塔赫纳」の纳→納と字形を調整し、「卡塔赫納」を暫定案とします。引用は原文の字形のまま示し、採用形と区別します。中国語の用例は日本語での歴史的定着を証明しません。


二文字・三文字案の比較

卡納

元の四字の両端を取り出した二字案です。短い一方、中間の音写が失われます。本稿の比較案であり、既存の略称とは確認していません。

卡塔納

三字に縮める比較案です。四字の一部を省くため原文との対応が弱くなります。既存用例とは確認していません。

卡塔赫納

四字を保つ案です。二字・三字より原文をたどりやすいため、例外的に採用します。ただし日本語の通常の音読みから「カルタヘナ」をそのまま導けるわけではありません。読みにはカナを添えます。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

カルタヘナ(Cartagena)

所属国

スペイン

暫定制定都市名

卡塔赫納――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

現代用例から字形を変えるため「改」です。採用形そのものについて同一字形の直接用例が確認できたとは主張しません。

INE年次センサス表68065の2025年1月1日の通常居住者は220,400人。コード30016、Cartagena municipio 全域であり、都市圏、市街地だけ、自治体内の地区や施設の人口ではありません。別コードの自治体とは別に数えます。境界ポリゴンの版は独立に検証していません。


採らなかった表記と未解決点

卡納・卡塔納は比較用の創案です。日本語の歴史的漢字用例、現代中国語表記の初出・命名者、採用字形そのものの直接用例は未確認です。資料の時代と表記の時代を混同せず、継続調査します。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇

次号はヘレス・デ・ラ・フロンテーラを取り上げます。