万国漢字志

都市篇 · フランス

万国漢字志 都市篇 第百八十五号|クレルモン=フェラン――二つに縮めず、五字を残す――

現代日本語と中国語の都市名用例を照合し、克萊蒙費朗を改として暫定採用する。人口は2023年基準・2025年境界・2026年発効の自治体人口。日本語の歴史的漢字表記は未確認。

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出生地の一行から始める

大学の講演会案内には、講演者の経歴が短く添えられています。成城大学の2024年の案内で目に留まるのは、フランス・クレルモン=フェラン生まれという一行です。

一方、中国の領事案内には、欧文のCLERMONT-FERRANDとともに克莱蒙费朗の五字が現れます。講演者の出生地と、領事案内に挙がる都市。その異なる入口から同じ町の名前を確かめます。

都市篇は二字・三字を標準にしていますが、今回は五字を残す案です。短くできることと、短くする根拠があることを分けて考えます。


歴史表記

日本語の歴史的漢字表記は、現時点では原典未確認です。 古い地理書や旅行記で、この町に対応する漢字と読みを確認したわけではありません。初出や選字者も要継続調査です。

今回参照する2011年の領事案内は現代中国語の使用例です。そこにある五字を、日本語の伝統的な表記や、それ以前の歴史原典の証拠へ格上げすることはしません。


日本語での用例

成城大学の講演会「アビラの聖テレジアにおける精神の現象学」の案内は、開催日を2024年5月31日としています。講演者エマニュエル・カタンの略歴冒頭には、1966年にフランスのクレルモン=フェランで生まれたと記されています。

同じ略歴には大学名の一部としてもこの地名が現れますが、本稿が都市名の根拠とするのは出生地を示す最初の一文です。大学名から所在地を逆算する必要がありません。

現代日本語名は、この表記に従ってクレルモン=フェランとします。現地話者の音声は今回確認していないため、カタカナを厳密な発音記号としては扱いません。


中国語圏その他の表記との比較

中国駐リヨン総領事館の「中国公民赴里昂须知」は、2011年4月8日付です。領区内の主要都市を挙げる本文に、**克莱蒙费朗(CLERMONT-FERRAND)**があります。続く段落も同じ五字で町を紹介しています。

本誌の案は、ここから莱を萊へ、费を費へ調整した克萊蒙費朗です。五字の順序はそのまま残します。原資料の字形と本誌の字形を同じものとして引用せず、変更の二箇所を明示します。

古い領事案内には、当時の行政区分や電話番号なども載っています。本稿で確かめるのは町の漢字名と欧文の対応に限り、2011年の案内を現在の行政・連絡先情報として用いません。中国語圏の地域差や最初の用例は、今回の確認範囲に含みません。


二文字・三文字案の比較

克費

名前の前半と後半から一字ずつ取る、本誌の二字比較案です。しかし、今回の資料でこの二字を都市名として用いた例は確認していません。どちらの部分からも文字を落とすことになり、資料の形から遠ざかります。

克萊蒙

先頭三字に縮める本誌の比較案です。三字という標準には収まりますが、既存の五字の後半に当たる費朗が残りません。Clermont-Ferrand全体を指す短縮形として使われていることは、今回の資料では確認できません。

克萊蒙費朗

既存の五字を保ち、二字の字形だけを調整する案です。短さでは二案に及びませんが、確認した欧文地名との対応を保ち、資料にない省略を増やさずに済みます。

二字・三字は比較の出発点であって、必ず切り詰めるための条件にはしません。本稿では、全体を保つ理由を示したうえで、五字を例外として採ります。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

クレルモン=フェラン

所属国

フランス

原資料で確認した現代中国語表記

克莱蒙费朗

暫定制定都市名

克萊蒙費朗――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

既存の克莱蒙费朗を根拠とし、莱と费の字形を調整するため「改」とします。日本語の歴史的な五字名が確認できた、という意味ではありません。

五字を残すのは、今回確認できた全体形を保ち、資料にない省略を避けるためです。二字・三字の実在する短縮用例が見つかれば、あらためて比較します。

人口はINSEEの2023年基準で146,351人。2025年1月1日の境界によるクレルモン=フェラン自治体全体の人口で、2026年1月1日発効の版です。近郊自治体や都市圏の人口は合算していません。


採らなかった表記と未解決点

克費と克萊蒙は、本誌が字数を比べるために置いた案です。歴史的な略称や、すでに通用している都市名としては示しません。字を削る操作が簡単でも、同じ町を指す名前として適切かは別の検証が必要です。

日本語の古い漢字用例、中国語表記の初出と選字者、地域ごとの異表記は継続調査です。二つの部分を持つ欧文名の成立史についても、現代の漢字の区切りから推測して説明することはしません。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第百八十六号

次は、確認済みの人口基準の掲載順に従い、**ル・マン(Le Mans)**を取り上げる予定です。日本語の呼び方と、資料で確認できる漢字表記を比べます。