中心地から測った十五キロ
トーゴ観光省の2024年7月2日付記事には、Souroukouの滝がDjarkpangaから約15キロにあると記されています。滝を紹介する文章のなかで、町は距離を測る基点になります。滝の名と、その近くの中心地の名は別です。
前号アファニャガンで読んだ2009年法にも、このDjarkpangaがあります。今回は同じ紙面から、中心地と周囲の範囲を読むことにしました。日本語索引名はジャルクパンガ、漢字案は闍留久班賀とします。どちらも本誌による暫定案です。
比較候補のGbalédjéは、既刊クペテ・ベナと同じ観光省の2021年記事に現れます。ただし、そこで調査対象なのは滝です。集落としての範囲をさらに確認する必要があります。今回はDjarkpangaについて、法令の中心地、自治体の範囲、都市別人口を読み合わせられることを優先しました。人口表の掲載順による選定ではありません。
歴史表記|2009年には副県の中心地
2009年12月3日法律第2009-027号、印刷10頁の左欄を原頁画像で確認しました。第八条はソトゥブア県内にMô副県を設け、第九条はその中心地をDjarkpangaと定めています。続いて、管轄にはDjarkpangaとTindjassiの小郡および構成する村・農場が含まれると記されます。
ここでは、中心地の町と、同じ名を持つ小郡と、さらに広い副県が区別されています。中心地名が一つ分かっても、それだけで管轄全域を一つの町とみなすことはできません。
2024年の観光省記事では、DjarkpangaはMô県の県庁所在地とされています。二つの年代の資料を並べる際、2009年にも県だったと書き換えることはしません。県への昇格を定めた法令そのものと時期は、今回の確認範囲では確定していません。
また、2009年は欧文形を確認できる年であって、町の創建年や命名年ではありません。日本語の歴史的漢字表記を発見したわけでもないため、歴史漢字の一覧には加えません。
自治体表では、中心地と三つの小郡
2018年1月8日付官報、印刷8頁(PDF8頁)には、2017年12月20日付政令第2017-141/PR号があります。右欄の中央州の表で、Mô 1の管轄にDjarkpanga、Boulohou、Kagningbara、小郡数に03、中心地にDjarkpangaとあるのを確認しました。
この表のDjarkpangaは、管轄欄にも中心地欄にもあります。同じ名前が二度あることは、同じ範囲が二度載るという意味ではありません。中心地が含まれる自治体には、ほかの小郡も入ります。
国家身分証明機関ANIDの中央州登録拠点一覧でも、DJARKPANGAが小郡欄と集落欄に現れ、学校名が別欄に並びます。近隣の集落名を持つ行もあり、拠点一覧をそのまま町の境界図にはできません。今回の表と一覧は、名称を行政階層ごとに読むために用います。
なお、同一覧にはMÔ 2自治体とDJARKPANGA小郡を組み合わせたSOLIDEの行もあります。この一行を理由に2018年の表を書き換えたり、行政境界が変わったと断定したりはしません。一覧内の対応関係には、別資料による確認を残します。
滝の名を町の別名にしない
冒頭の観光省記事が扱うのは、2024年6月27日に行われたSouroukouの滝の活用に関する実現可能性調査の検討会です。記事の掲載日と会合の日も区別できます。
同省が書く約15キロという距離は、Djarkpangaと滝を同一地点として扱わない手掛かりです。ただし、道路距離か直線距離か、測定の起点はどこかまでは記されていません。本稿もその精度を補って説明しません。滝への案内に中心地名が登場することは確認できても、滝の名を都市の別名にはできないのです。
日本語・中国語圏の用例と暫定転写
今回確認した法令と公的記事の欧文形はDjarkpangaです。この町へ直接対応する、公的に定着した日本語カタカナ形、日本語の歴史的漢字形、中国語圏の公的な漢字形は、今回の検索では確認できませんでした。見つからなかったことを不存在の証明にはしません。
ジャルクパンガは、Djar・kp・an・gaを日本語索引へ移すために置く、本誌の綴りに基づく近似です。冒頭をジャ、rにル、子音の連続kpにクパ、残りをンガとする編集上の区切りを採っています。特にクパは日本語で母音を補う表し方であり、現地で二つの音節として発音されると認定したものではありません。
町名全体の現地音源は未取得・未聴取です。kpの調音、rの実現、鼻音・母音・声調を確認していません。フランス語で書かれた公的資料に名前が載ることと、現地語の音を確認したことは別です。音源の確認後には索引名と漢字案を一緒に見直します。
二字・三字と、内側を残す五字
闍賀・闍班賀
二字の闍賀、三字の闍班賀は短くなりますが、ルとクパに当たる内側の手掛かりが薄れます。標準の字数に合わせるために省略する案は、今回は採りません。
耶留久班賀
五字の比較案です。冒頭の耶はヤの目印になりますが、ジャをそのまま表しません。今回はジャの字音を持つ闍と比べ、残案とします。
闍留久般賀
班を般に替える五字案です。ハンという字音を当てる点では同じ課題があります。どちらの字義も町の来歴を証明するものではなく、今回は班を採ります。
闍留久班賀
日本漢字能力検定協会の漢字ペディア「闍」には、音としてト・ジャが載っています。闍のジャ、留のル、久のク、班のハン、賀のガを目印にする五字案です。全体にジャルクパンガという指定読みを置きます。
ただし、班のハンはパンと一致せず、留にもリュウなどの読みがあります。通常字音を機械的に連ねるだけで地名が再現されるとはしません。班をパンへ対応させることも、この当て字の指定読みの一部です。闍の「町」という意味を、この都市の語源に結びつけることもありません。
先行する漢字表記を未確認であるため、区分は創です。先例が見つからないというだけで提案を止めず、既存用例と分けて記録します。
8,113人の集計区域
INSEED『ANNUAIRE STATISTIQUE NATIONAL 2022』、表3.21、印刷33頁(PDF51頁)の原頁で、Djarkpangaの男性4,151人、女性3,962人、計8,113人を確認しました。内訳の和も一致します。人口欄には、2022年の都市別居住人口としてこの数値を置きます。Mô 1自治体全域の人口へ拡大しません。
位置はGeoNames公式配布データのレコード2366986を暫定的な索引点とします。名称はDjarakpana、別名にDjereponi、国コードTG、居住地分類P.PPL、北緯8.78333度・東経0.56667度です。
法律のDjarkpangaと完全一致する綴りではありません。名称の対応と周辺位置を照合した代表点であり、政府が定めた町の境界ではありません。異綴りの対応は暫定とし、自治体地図との照合を課題に残します。データの人口欄の0は、無人を意味する人口として採りません。
外務省の基礎データにあるトーゴの首都はロメです。県庁所在地であることと、国の首都であることを区別します。
万国漢字志の暫定案
暫定日本語都市名
ジャルクパンガ
原綴り・所属国
Djarkpanga/トーゴ
暫定制定都市名
闍留久班賀
指定読み
ジャルクパンガ
制定区分
闍留久班賀――創
制定状態
暫定制定・原典継続調査
一字略称、命名者、命名年、地名の語源は認定しません。
採らなかった表記と未解決点
闍賀・闍班賀は省略が大きいため不採用。耶留久班賀・闍留久般賀は比較案として残します。歴史漢字、公的な日本語・中国語形、現地音、初出は継続調査です。
副県から県への移行法令、都市統計区域と自治体境界の対応、代表点の異綴りも、今後確かめるべき事項です。今回得たものは、同じ名前を持つ町と行政区域を、資料の欄ごとに区別して読む手掛かりです。
参考資料
- 2009年12月3日法律第2009-027号。印刷10頁、第八・九条。原頁画像確認。
- 2018年1月8日付『トーゴ共和国官報』。印刷8頁、政令第2017-141/PR号、中央州の表。原頁画像確認。
- ANID「List of Centrale Registration」。MÔ、MÔ 1、DJARKPANGAの欄。
- トーゴ観光省、Souroukouの滝の実現可能性調査の検討会、2024年7月2日。会合日は6月27日。約15キロの記載。
- トーゴ観光省、Kpètè BènaとGbalédjéの滝の調査、2021年12月30日。候補比較。
- INSEED『ANNUAIRE STATISTIQUE NATIONAL 2022』。表3.21、印刷33頁。原頁画像確認。
- GeoNames TG.zip公式配布。レコード2366986。Djarakpanaの代表点を暫定使用。
- 漢字ペディア「闍」。字音の確認。都市名の先行用例ではない。
- 外務省「トーゴ共和国基礎データ」。首都ロメ。
(2026年10月16日調査。現地音源未聴取。)
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。
都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。
次回予告|都市篇 第百二十号
今回の法令にあるTindjassiと、観光省資料のGbalédjéを比較します。集落・小郡・自然地形を区別できる一次資料を回収し、既刊とのつながりと史料価値から選びます。
