万国漢字志

都市篇 · イタリア

万国漢字志 都市篇 第三百二十三号|フェラーラ――城壁を広げた街を「費拉拉」と書く――

城壁を広げた街の用例「费拉拉」をもとに、字形を調整した「費拉拉」を改として採る。


城壁を広げた街を「費拉拉」と書く

フェラーラの城壁の内側には、中世の市街地と、ルネサンス期に広げられた街区が収まっています。イタリア文化省の案内は、ビアージョ・ロセッティが15世紀末に設計した市街拡張 Addizione Erculea を取り上げています。街路や広場の配置にも遠近法の考え方が取り入れられました。


歴史表記

UNESCOの世界遺産名録は、ロセッティによる街区の整備が1492年に始まったと説明しています。1999年の世界遺産委員会決議には、ポー川デルタへの登録範囲の拡大に伴い、登録名に Ferrara とそのデルタを併記した経緯が残ります。この決議で確認できる Ferrara は登録名の綴りです。市名の初出と、日本語の歴史的な漢字表記は原典未確認です。


日本語での用例

国土交通政策研究所の『国土交通政策研究所報』第56号は、市内の催しを「フェラーラ・パリオ(Palio di Ferrara)」と紹介し、続く節で「フェラーラ市」の公共空間利用を扱っています。


中国語圏その他の表記との比較

UNESCO世界遺産センターの中国語版は、登録名の中で「费拉拉城」、説明文の冒頭で「费拉拉」と記します。英語の見出しの Ferrara と対照でき、ポー川デルタを含む登録名から都市名に当たる三字を取り出せます。


二文字・三文字案の比較

费拉

末尾の一字を省く二字案です。カタカナ表記の後半にあるラ行音の繰り返しが字面から消えます。

費拉拉

最初の费を日本語でも用いる費へ調整した三字を本誌は採ります。世界遺産センターの中国語ページの引用は「费拉拉」のまま残します。繁体字版での掲載を新たに確認したという意味ではありません。

费拉拉

登録名と都市の説明に見える引用字形です。本誌の採用形「費拉拉」と区別します。「拉」が二つ続くので Ferrara の後半と照らし合わせやすくなります。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

フェラーラ(Ferrara)

所属国

イタリア

暫定制定都市名

費拉拉――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

「改」は、現代の用例「费拉拉」を土台に、费→費と採用字形を本誌が調整したことを示します。出典の引用には元の字形を残します。日本語の伝統的な漢字表記として認定するものではなく、「フェラーラ」の読みを添えます。

ISTATの2024年人口収支確定表で、2024年12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は129,081人です。2025年1月1日初に相当し、自治体コード038008のコムーネ全域を集計しています。市の条例が定める自治体の範囲には中心市街地の外も含まれます。世界遺産の登録範囲とは別の集計単位です。


採らなかった表記と未解決点

费拉は比較にとどめ、費拉拉を本誌の字形調整案として採ります。市名の初出と日本語での歴史的な漢字用例は、引き続き原資料で調べます。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第三百二十四号

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