ブロフの表にあった、もう一つの名前
前号スルクで読んだ1963年の官報には、同じ投票所の管轄にFoloが載っています。ところが、現在の登録拠点表でFoloを探すと、所属小郡はBoulohouではなくKagnigbaraです。
一枚の古い表を、現在の行政地図として使うことはできません。今回はこの集落をフォロと暫定転写し、漢字案に芙於呂を選びます。都市篇の収録対象ですが、独立した市という認定ではありません。
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前号からの候補Sangoul系とMatchatomは、現在の登録表と農村道路表に現れます。ただしSangouli・SANGOUL・Sangouléをどこまで同じ場所として扱えるか、Matchatomを別地域のAou-Matchatomからどう位置で区別するかは、なお課題でした。
Foloは前号で回収した官報にあり、既刊カグニグバラの現在の小郡へも接続します。年鑑にはFoloを起点とする複数の道路が載り、GeoNamesにも同綴りの集落点があります。用途の違う資料を読み合わせられること、投票所管轄と現在の所属を分ける必要があることを理由に選びました。人口表で次に並ぶ町を選んだものではありません。
歴史表記と現在の所属
1963年4月30日付トーゴ官報の印刷267頁。左上のBOULOHOU、投票所15/54は、置き場をEcole officielle Boulohouとし、管轄欄にBoulohou、Folo、Kadiambara、Souroukou、Tassi、Kouedaを記しています。
Foloという綴りの歴史的な行政用例です。ただし村の創建年や地名の初出年、日本語の漢字形を示す資料ではありません。投票所がBoulohouに置かれていたことから、当時の小郡境界まで確定することもできません。
現在の国家個人識別庁ANIDの登録表では、FoloはMô県のMô 1自治体、KAGNINGBARA欄にあり、登録施設はEPP FOLOです。同じ欄にKAGNIGBARAという集落の行もあります。本稿ではこれを統計年鑑のKagnigbara小郡と照合します。欄見出しと集落名の綴りの差を、そのまま別小郡の証拠にはしません。
この対照から分かるのは、二つの資料の分類が異なることです。「FoloがBoulohouから移管された」とまで書くには、境界変更の法令とその時期を別に確かめる必要があります。
道路表のFolo
INSEED『中央州統計年鑑2022–2023』の印刷281頁、表3-48には、Folo–Achaokoura、Folo–Bolkatanga、Folo–Kokoukoni、Folo–N'Kanwobouneという四つの農村道路が続きます。
登録表に村として現れる名が、道路表では経路の起点になります。同じMô県の資料に同綴りで現れることを、対象の照合に使います。道路表の名称だけで現在の通行状況や正確な村中心間距離を認定するものではありません。
日本語での用例と転写の限界
今回の探索では、この集落を直接指す公的な日本語表記は確認できませんでした。フォロは本誌が置く暫定転写であり、既存日本語名の採録ではありません。
公式の欧文形FoloをFo・loと見て、フォ・ロへ近似させます。ケベック州フランス語局OQLFの音声解説は、フランス語のfに対応する[f]とlに対応する[l]を区別し、母音には[o]と[ɔ]などの違いがあることを示しています。この一般資料を、欧文綴りから日本語へ移す際の参考にします。
ただし、同局の説明はFoloという地名の発音資料ではありません。日本語のラ行は[l]と同じ音ではなく、オ一つで母音の開きも区別できません。現地音源は未取得・未聴取です。 母音の長短、声調、現地語の子音と正書法は未確認であり、Foloの現地発音を音声記号で確定したとはしません。フォローという長音も、綴りだけから付けません。
中国語圏の形と歴史的漢字形
この集落に直接対応する中国語圏の公的漢字形、日本語の歴史的漢字形は今回未確認です。存在しないという結論ではなく、地名辞典・地図の継続調査対象です。
以下は本誌の創の案です。字の読みが辞典に載ることと、地名全体の先行用例があることを分けます。
二文字・三文字案の比較
芙於呂
漢字ペディアの芙のフ、於のオと、文化庁の常用漢字表音訓索引にある呂のロを組み合わせる三字案です。字音をそのまま並べればフオロですが、本稿では芙於の二字を合わせてフォと読む指定を添え、**芙於呂(フォロ)**とします。
これは辞書どおりの音読みだけで自動的にフォロと読める表記ではありません。それでも、冒頭のオの手掛かりを字面に残し、末尾のロも保持する点を採用理由にします。芙の字義から、この土地にハスがあるという語源を作ることはしません。
富於呂
文化庁の索引にある富のフを用いる、同じ三字の比較案です。フォの指定読みが必要な点は芙於呂と変わらず、音の精度に優劣はありません。富にはフウの読みもあるため、今回の索引では冒頭にフを示す芙を選びます。村の豊かさを評価する選字ではありません。
芙呂
二字ですが、字音の組合せはフロです。芙だけにフォという読みを負わせると、オの手掛かりがなくなります。三字で残せる要素を二字のために落とす必要はないと考え、今回は採りません。
いずれの案も現地発音を実証したものではありません。日本語の暫定転写に対する当て字であり、読みを併記して使います。
人口と座標が示す範囲
年鑑の印刷53頁、表2-5にあるKagnigbara小郡の2022年人口は、男性2,704人、女性2,613人、計5,317人です。出典はINSEED/RGPH-5。この値はFoloを含む所属小郡全域であり、Folo村単独の人口ではありません。村の人口を5,317人とする読み方はできません。
GeoNamesのトーゴ地名データには、Folo、識別子2366683、種別PPLがあり、北緯8.93333度・東経0.7度を記しています。公式の綴りとMô県の道路・所属資料を照合した暫定索引点に使います。同データの異綴り欄にはFala、Foloo、Fukore、Toloなどがありますが、これらを公式の改称履歴として採録することはしません。
地名データの更新日は2012年1月18日です。測量日ではなく、公式村中心点・村境界との一致も未照合です。小数点の桁数を位置精度の証明にはせず、人口欄の0も未収録として扱います。
トーゴの首都は外務省基礎データが記すロメです。Foloを首都とは扱いません。
万国漢字志の暫定案
暫定日本語都市名
フォロ
原綴り・所属国
Folo/トーゴ
暫定制定都市名
芙於呂(フォロ)――創
制定状態
暫定制定・原典継続調査
芙於にフォという指定読みを添える三字案です。歴史的な日本語漢字名の復元でも、現地の公式漢字名でもありません。一字略称と命名者は設けません。
採らなかった表記と未解決点
富於呂は同音の比較案として残し、芙呂はオの手掛かりを失うため採りませんでした。芙於呂にもフオとフォの隔たりがあり、読みの併記を欠かせません。
現地音、語源、現地語の綴り、村単独の人口、村境界、1963年の投票区と現在の所属の間の制度変遷は要継続調査です。別のFoloや似た名のFonoを、綴りが近いだけで同一地点にはしません。日本語の信頼できる用例や音源が得られた場合、カタカナ形と漢字形を合わせて見直します。
参考資料
- トーゴ官報1963年4月30日号、印刷267頁、BOULOHOU投票所15/54。保存済み原頁を再確認。
- ANID「中央州登録拠点一覧」。MÔ 1、KAGNINGBARA、FOLOの行と、比較候補SANGOUL・MATCHATOMの行。
- INSEED『中央州統計年鑑2022–2023』、2024年12月、印刷53頁表2-5、281頁表3-48。保存済み原頁を再確認。
- GeoNamesトーゴ地名データ、Folo、2366683。保存済み原本を再読。© GeoNames、CC BY 4.0。
- OQLF「子音の調音特徴」「フランス語の母音」。日本語表題は説明題。現地地名の音源ではない。
- 漢字ペディア「芙」「於」。各字の読み。
- 文化庁「常用漢字表の音訓索引」。富・呂の読み。
- 外務省「トーゴ共和国基礎データ」。首都ロメ。
(2026年10月19日調査。現地音源未聴取。)
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。
都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。
次回予告|都市篇 第百二十八号
Sangoul系・Matchatomなど、既刊の道路と登録表からつながる未収録集落を引き続き比較します。綴りの一致だけでなく、所属と位置を確かめて次の一地点を選びます。
