万国漢字志

都市篇 · イタリア

万国漢字志 都市篇 第三百号|ジェノヴァ――港の街を「熱那亞」と記す――

ジェノヴァの現代公的用例から熱那亞を採り、別表記と日本語で読む際の限界を示す。


灯台のある港の街を、三字でどう記すか

ジェノヴァ市が街の象徴に挙げるのは、港を見下ろす灯台ランテルナです。台湾の苗栗県政府が国際会議への参加計画を知らせた広報では、この街を熱那亞と記し、Genovaを併記しています。


歴史表記

市の案内は、現在の灯台の建設年を1543年としています。建物の年代は、漢字表記の年代とは別です。市の案内から、当時の日本語刊本や地図の用字を確定することはできません。

日本語での歴史的な漢字表記は原典画像未確認です。確認した現代用例から、過去の字形や初出をさかのぼって認定することはできません。


日本語での用例

外務省の2001年のサミット概要にはジェノヴァ、伊勢志摩サミット公式サイトの開催史には同じ2001年イタリア開催分がジェノバと載ります。本稿は2001年の開催概要にあるジェノヴァを見出しと読みの基準に採ります。


中国語圏その他の表記との比較

苗栗県政府は2021年7月30日の広報で、2023年の国際会議への参加を目標に掲げ、その開催地を「義大利熱那亞(Italy,Genova)」と記しました。県の広報に見える現代中国語の都市名として参照します。


二文字・三文字案の比較

熱亞

熱那亞から中の那を省く本誌の比較案です。典拠にある形が崩れ、中間の字を手掛かりに原表記を探すこともできなくなります。

熱那亜

亞を日本の通用字体の亜に置き換える比較案です。字形は日本語の読者に馴染みやすくなりますが、苗栗県政府の掲載形から変わり、ジェノヴァの発音に近づくわけでもありません。

熱那亞

熱那亞は苗栗県政府の広報にある三字をそのまま残せます。通常の日本語の字音をつないでも、冒頭のジェや末尾のヴァは再現できません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

ジェノヴァ(Genova)

所属国

イタリア

暫定制定都市名

熱那亞――既

制定状態

暫定制定・原典継続調査

現代の公的用例の字形を採り、本誌では日本語の読み「ジェノヴァ」を添えます。「既」は既存用例に基づく本誌の分類です。

ISTATの2024年人口収支の確定表では、2024年12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は564,080人です。2025年1月1日初に相当する値で、自治体コード010025のコムーネ全域を数えます。大都市自治体Città metropolitana di Genovaやリグーリア州の合計とは区別します。


採らなかった表記と未解決点

熱亞への短縮と熱那亜への字体変更を見送り、現地名を併記した苗栗県政府の表記を採ります。 古い日本語資料の用字を採用するには、掲載箇所の画像と、文脈が同じ都市を指すことの確認が必要です。漢字形の初出と命名者は未確定です。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第三百一号

人口台帳で次の掲載順に当たるのはボローニャです。