万国漢字志

都市篇 · スペイン

万国漢字志 都市篇 第三百九十九号|ジローナ――Gerundaの解説と、大学の記録に見える漢字――

市の古代都市解説と大学の現代用例を読み、赫罗纳を字形調整した赫羅納を考える。


博物館の名と、いまの都市の名

市の歴史博物館は、ローマ期の展示を「Gerunda, ciutat romana」と呼んでいます。一方、現代の大学の教員紹介には、展覧会の開催地として Girona と「赫罗纳」が並びます。古代を説明する名と、いま実際に漢字で書かれる名を、一つの先例にまとめずに読んでみます。

対象はスペインの自治体 Girona、INE自治体コード17079です。同名の県全域、古代の都市領域、歴史上の伯領は、今回の人口の範囲と区別します。


歴史表記

市歴史博物館の常設展示案内は、Gerunda をローマ人が紀元前1世紀初めに建てた都市と説明します。都市の核と、周囲の別荘などがある suburbium を書き分けている点も目にとまります。市歴史博物館「Gerunda, ciutat romana」

市の「Girona 2100」ページも、Gerunda の創設を紀元前76〜77年とする記念事業の説明を載せています。今回直接読んだのは、いずれも現在の市の紹介文です。古代の貨幣・碑文、当時の地理書の伝本や校訂本文を確認した、という意味ではありません。市「Girona 2100」

Gerunda という古名が市の解説で確認できても、現在の municipio 全域と古代の市街地・周辺領域が一致するとは認定しません。また、ラテン語の古名を確認することと、日本語の歴史的漢字表記を確認することは別です。後者の原典は今回未確認です。


日本語での用例

平和首長会議の加盟都市リストには、スペイン欄に Girona と「ジローナ」が並びます。2026年11月1日表示のPDF、94ページ目の本文抽出を直接確認しました。本稿はこの現代日本語形を採ります。平和首長会議・加盟都市リスト

スペイン観光公式サイトの市の紹介も検索結果には見つかりましたが、今回の本文取得はタイムアウトでした。その検索結果を直接閲覧済みの本文としては使いません。取得できた団体自身の名簿を、現代カナ形の根拠とします。


中国語圏その他の表記との比較

景徳鎮陶瓷大学美術学院が2026年9月23日に公開した宋景徽の紹介は、展覧会歴の2025年の行に「2025 KSBDA Girona International Invitational Exhibition,赫罗纳,西班牙」と記しています。確認したのは、大学が自らの教員の活動を紹介する現代の文章です。原語名・漢字名・国名が同じ行に現れます。同学院「宋景徽」

この資料は、大学名の中に地名が入っているだけの例ではなく、開催地欄の漢字用例です。ただし、展覧会当時の全公式記録や会場住所を本稿が照合したわけではありません。用例の確認から、中国語地名の初出や命名者までは導きません。

引用では簡体字の「赫罗纳」を保持します。本誌の案「赫羅納」は「罗」を日本語で用いる「羅」、「纳」を「納」へ替えたものです。三字の長さは同じでも、実例と同じ字形ではないため「改」とします。


二文字・三文字案の比較

赫羅納

現代の用例の三字を保ちながら字形を調整する案です。日本語音読みではカク・ラ・ノウなどとなり、ジローナとは普通には読めません。中国語の音写を日本語の発音表記として扱わず、ジローナと Girona を添えます。

赫羅

「纳」を省き、「罗」を「羅」に替える二字の「改」案です。末尾のナの手がかりを失います。字数を減らしても日本語読みが近づくわけではなく、この二字を実際の都市略称として確認したものでもありません。

羅納

「赫」を省き、残る二字の字形を調整する「改」案です。語頭の手がかりを失い、日本語音読みならラ・ノウなどになります。全名を探し直すための材料が少ないため採りません。

赫罗纳

直接確認した現代中国語の実例です。この三字をそのまま採るなら「既」とできますが、本誌は採用名に日本語で用いる「羅」「納」を選びます。引用欄を採用形へ書き換えることはしません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

ジローナ(Girona)

所属国

スペイン

暫定制定都市名

赫羅納――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

INE年次人口センサス表68065の2025年1月1日の通常居住者人口は108,352人。男女計、自治体コード17079の municipio 全域の人口です。ジローナ県全域や古代 Gerunda の支配領域、都市圏の人口ではありません。INE表68065

2026年11月7日保存CSVの物理37967行を使用しました。2025年値の公表日は2025年12月2日、対応PXの作成日表示は2026年4月30日です。代表点は選定資料のGeoNames座標を継承し、自治体境界ポリゴンの版は独立には確認していません。


採らなかった表記と未解決点

採用する三字は現代用例の字形調整であり、日本語の伝統名を復活させるという案ではありません。「赫羅納」そのままの当該都市用例、日本語の歴史的漢字原典、漢字形の初出・命名者は未確認です。

古代名 Gerunda の原資料、展覧会当時の会場記録、名簿PDFの紙面画像との照合も継続調査に残します。市の歴史解説、大学の現代活動記録、漢字表記の提案が、それぞれ何を証明するかを分けておきます。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第四百号

第四百号はオウレンセ(Ourense)を取り上げます。