同じGondomarを、国から確かめる
ポルトガルのゴンドマル市公式サイトには、「Gondomar | Espanha」というページがあります。これは自市の紹介をスペイン語にした見出しではなく、スペインにある同名の提携自治体の紹介です。ゴンドマル市の提携先案内
綴りが一致しても、国も人口も同じにはなりません。本稿はポルトガル、自治体コード1304の Gondomar を対象とします。スペインの同名自治体、ポルト都市圏、自治体内の中心市街地とは区別して漢字名を考えます。
歴史表記
市公式の歴史解説「Sobre」は、地名を西ゴート王 Gundemaro と結び付ける説を紹介します。ただし書き出しは「Entre outras versões」で、複数の説の一つという位置付けです。610年に領域を設けたという叙述も条件付きで、関連する遺物が見当たらない旨を添えています。王が確実な命名者だった、と本誌で断定することはできません。
同ページは1193年の Carta de Couto と1515年のforalにも触れますが、今回読んだのは現代の公式解説であり、文書原本・全文翻刻ではありません。日本語の歴史的漢字名も未確認です。
市はさらに、過去の管轄が現在のfreguesiaと常に一致したわけではないと説明し、AvintesやCampanhãの帰属の変化を挙げています。古い地名に現在の人口を無条件で重ねないための手がかりとして読み、境界変遷を全件確認したとはしません。
日本語での用例
日本バレーボール協会の「FIVBバレーボールネーションズリーグ2019」には、開催地として「ゴンドマル(ポルトガル)」とあります。本誌の現代日本語都市名はこの直接用例に合わせます。JVA大会資料
このページは競技当事者による大会資料です。日本語名と国を確かめるために用い、スポーツ大会の開催地という表示だけから自治体境界を確定したり、歴史上の管轄を同定したりはしません。
中国語圏その他の表記との比較
民間の自治体情報サイト camara-municipal.pt は、Portugal・Portoと明記したGondomarのページで、中国語名を「贡多马尔」と記します。欄外には政府機関に属さない独立企業である旨が明示されており、公式行政サイトとは区別します。民間地名案内の本文
この資料は、そのサイトが実際に用いている字形を確かめる原資料です。表記が公的に制定されていること、中国語圏全体で標準化されていること、歴史的漢字名であることまでは示しません。掲載される人口も本稿には使いません。
本誌案では「贡」を「貢」、「马」を「馬」へ改め、末尾の「尔」を省いて「貢多馬」とします。原字引用は簡体字のまま残します。変換と短縮を本誌が行った三字なので区分は「改」であり、同一字形の実例を確認した「既」ではありません。
二文字・三文字案の比較
貢多馬
確認した四字形の前半三字を残し、日本語用字へ移す案です。根拠形を示しやすい反面、末尾に対応する音写を失います。三字の通常の日本語の読みからゴンドマルという音全体は得られず、カナとGondomarを併記します。語末のrなど、現地の発音を精密に示す表記でもありません。
貢馬
前後から二字を残す短縮案です。「多」まで省けば短くなりますが、途中の音の手がかりも失います。直接用例は未確認で、三字案より識別の手がかりを減らすため採りません。
金都馬
市史が触れる金鉱と、カナ名の響きを合わせた本誌の創案です。しかし地名の由来が「金の都」だったという根拠はありません。産業や歴史の一面を、語源そのもののように見せてしまうため採りません。
貢多馬爾
四字すべてを日本語用字へ移す比較案です。元の音写の情報は多く残せますが、本誌の標準より長くなります。この四字そのものの直接用例も今回未確認で、機械的な字形変換だけを根拠に「既」とはしません。
万国漢字志の暫定案
現代日本語都市名
ゴンドマル(Gondomar)
所属国
ポルトガル
暫定制定都市名
貢多馬――改
制定状態
暫定制定・原典継続調査
ポルトガルINE指標0012918の2026年6月22日更新版による2025年12月31日の住民人口推計は、170,597人です。自治体コード1304、地理コード11A1304、男女計・全年齢の値を採ります。スペインINEの同名自治体の値とは区別します。ポルトガルINE原表
対象はCAOP2020に基づく municipio/concelho 全域です。NUTS2024の記載を都市圏人口と解釈せず、中心集落だけの人口とも区別します。INEメタデータ
現在の国家首都はリスボンであり、本稿のゴンドマルは首都ではありません。AML「Lisboa」
採らなかった表記と未解決点
今回の中国語形の直接確認先は民間の地名案内です。公的機関が当該自治体を中国語でどう呼ぶかは、原ページ本文による確認をさらに続ける必要があります。大会関係の中国語公式ページにも確認を試みましたが、取得は拒否されました。検索索引の短文を、本文を読んだ実例へ格上げしません。
日本語の歴史的漢字名、同一字形「貢多馬」の使用例、初出・命名者は未確認です。Gundemaro説は留保を付けたまま残します。歴史文書と境界図、現地の発音辞典・音声の直接照合も未実施です。代表点は選定資料から継承し、市域ポリゴンの証拠とはしません。
参考資料
- ゴンドマル市「Sobre」。現代公式史。留保付きのGundemaro説、1193年・1515年への言及、歴史的管轄の変化を確認。原史料本文とページ成立・更新年月は未確認。
- 同市「Gondomar | Espanha」。スペインの同名自治体の紹介。別都市との区別に使用し、掲載人口は転用しません。
- 日本バレーボール協会、VNL2019。公開HTML本文を直接取得し「ゴンドマル(ポルトガル)」を確認。現代日本語の直接用例。
- camara-municipal.pt「Gondomar, Porto」。政府に属さない民間案内。「贡多马尔」の直接用例と国・県の表示のみ参照。行政・人口・語源の正本ではありません。
- ポルトガルINE指標0012918とメタデータ。2026年11月8日保存の当該原行・更新版・地理階層を直接照合。INE公式説明の保存本文で年末基準日も確認。
- AML「Lisboa」。現在の首都確認に使用。別年の人口は不使用。
- GeoNames:Gondomar。代表点41.14454, -8.53223を保存済み選定資料から継承。今回Web本文は再取得していません。
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。
次回予告|都市篇 第四百二十一号
第四百二十一号はギマラインス(Guimarães)を取り上げます。
