万国漢字志

都市篇 · トーゴ

万国漢字志 都市篇 第九十号|クパリメ――学びの場所に記された「帕利梅」

ロメの北西にあるトーゴのクパリメ。日本語のボランティア案内と中国語の農業研修報告を照合し、既存の三字形「帕利梅」を暫定案とする。

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学びの場所から町の名を読む

前号のツェビエでは、踏査日程と写真の説明から都市名を確かめました。今回はトーゴのクパリメ(Kpalimé)です。日本語のボランティア案内と、中国語の農業研修報告に、町の名前が載っています。

一方は生徒にコンピューターを教える活動、もう一方は農業技術を伝える研修です。別々の活動を紹介する本文から、日本語のクパリメと中国語の帕利梅を拾い、その場所を地理資料と照合します。


日本語の歴史的漢字表記は未確認

この都市を漢字で記した古い日本語地理書や地図の用例は、現時点では原典未確認です。今回確認した帕利梅は中国語の既存用例であり、日本語の歴史的表記として扱うことはできません。

日本語の漢字用例が確認できていないことと、過去に存在しなかったことは別です。歴史表記の調査は続けます。


「場所」欄にあるクパリメ

国際ボランティアNGO・NICEの「INTRODUCTION TO COMPUTERS" PROGRAMME FOR STUDENTS」は、生徒向けのコンピューター教育を紹介する案内です。その**「場所」欄に「トーゴのクパリメ」**とあります。

仕事内容の欄でも、クパリメの学校の生徒や職業訓練センターの受講者が活動の対象として挙げられています。日本語名の根拠は、ページの題名ではなく、場所を直接示す欄と本文です。

現地の活動団体ASTOVOTの公式連絡先には、ゾマイ地区の住所とKpalimé, TOGOが記されています。日本語案内の活動団体と、その団体自身が示す所在地を照合できます。ここでは募集案内を地名の使用例として読み、参加条件や現在の実施状況を確定する資料には使いません。


パリメとクパリメ

日本トーゴ友好協会の「観光」ページには、**「パリメ」という節があります。ところが同じ節の本文では、森や工芸を紹介する箇所に「クパリメ」**も現れます。一つの町の説明の中に、日本語の二つの形が並んでいます。

GeoNamesの都市項目2365560にも、KpaliméとPaliméが別名として載っています。この地理資料と日本語の同一節を照合し、今回はNICEの場所欄で直接確認できるクパリメを本稿の都市名とします。パリメも日本語での確認済みの異表記として残します。

ただし、二つのカタカナがいつから使われたか、どちらが先かは未確認です。表記の違いだけから改称の歴史や現地語の発音変化を導くことはしません。協会ページの掲載年・更新年も確定していません。


農業研修の開催地「帕利梅」

中国熱帯農業科学院(CATAS)の公式サイトには、2025年9月25日付の「中国热科院举办第二期中国-多哥水稻种植及热带农业技术海外培训班」があります。著者欄は院国際合作処、出典欄は中国熱帯農業科学院です。

本文冒頭は、9月17~23日の研修がトーゴの四つの場所で開催されたと記し、その一つを帕利梅としています。これは研修の開催地を列挙する文であり、記事の題名や施設名から推測した漢字名ではありません。

GeoNamesの2365560には、同じ都市の別名として帕利梅も載っています。CATASの本文がトーゴの開催地として使う三字と、Kpalimé・Paliméを持つ都市項目が対応します。日本語資料、現地団体の住所、地理資料、中国語の研修報告を合わせ、この三字が今回のクパリメを指すことを確かめます。

CATASは研修を実施した機関による報告であり、中国語の既存用例を示す根拠です。ただし、この一例を中国語圏全体で唯一の標準形とみなすことはできません。台湾の公的資料での表記は今回未確認です。また、2025年9月25日はこの記事の掲載日であって、漢字表記の初出年ではありません。


三字を保つか、二字に縮めるか

帕利梅

研修の開催地として直接確認できる三字形です。本誌の二字・三字という標準の範囲に収まり、資料の形をそのまま採れます。今回はこの三字を暫定案とします。

二字への短縮

今回確認した資料には、この都市を二字で示す短縮形はありません。一字を落とす根拠がないため、比較のためだけに新しい形を作ることは控えます。

帕利梅の字義から町の特色や地名の語源を説明する根拠も、今回の資料にはありません。中国語の既存形を採用することと、日本語で慣用の漢字都市名や読みが成立していることは分けて考えます。


ロメの北西にある都市

現地の観光サイトTogo Tourismeの「Kpalime」は、本文でロメの北西約120kmに位置する町として紹介しています。工芸センターの説明もあり、NICEや日本トーゴ友好協会の案内と、場所や紹介対象を照合できます。紹介されている周辺の山や村を、すべて都市そのものの範囲に含めることはしません。

位置の目安は、GeoNamesの都市項目2365560の北緯6.9度・東経0.6333333度です。取得した検索結果HTMLで、トーゴのプラトー地方にある集落項目であることと座標を確認しました。同じ検索結果にあるクロト県の行政区域項目2365976、別集落のKpalime項目11395372とは区別しています。

また、外務省の基礎データが示すトーゴの首都はロメです。クパリメを国の首都とは扱いません。

INSEEDの『ANNUAIRE STATISTIQUE NATIONAL 2022』は、表紙に2023年12月とあります。表3.21、印刷33頁(PDF51頁)のKpalimé行は、男性4万2,058人、女性4万5,420人、合計8万7,478人です。男女の合計も一致します。

表題は2022年の都市別居住人口を示します。続く印刷34頁(PDF52頁)末尾の出典は、INSEEDの第5回人口・住宅国勢調査(RGPH 5)、人口の空間分布、2022年です。該当行、表題、続頁の出典を抽出テキストと原頁画像で照合しました。

ここで採るのは、この表の都市別人口です。クロト県全体や自治体全域の人口へ置き換えません。都市の集計境界と自治体境界の対応は未確認であり、座標も人口集計区域の境界を示すものではありません。2022年の値を現在の人口として紹介することも控えます。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

クパリメ

所属国

トーゴ

暫定制定都市名

帕利梅――既

制定状態

暫定制定・日本語の歴史的漢字表記と選字の経緯は継続調査

「既」は中国語資料に既存の都市直接用例があることを示します。この三字を日本語の都市索引に採る判断は、万国漢字志の暫定的な提案です。日本語で伝統的に定着した漢字表記という意味ではありません。

ボランティア案内の場所欄と、農業研修の開催地。それぞれの資料は、町へ行き、そこで学ぶ人々のために名前を記しています。今回はその本文をたどり、同じ都市に結び付く二つの言語の表記を並べました。


採らなかった表記と未解決点

根拠を確認できない二字への短縮形と、未確認の日本語漢字形は採りませんでした。日本語の歴史的漢字表記、帕利梅の初出・選字者・成立経緯、台湾の公的用例は継続調査とします。

現地名の語源や命名者、パリメとクパリメの日本語での初出・普及の経緯も未確認です。研修報告から都市全体の農業規模を導くことはできず、今回の人口表の詳細な集計境界も今後の確認事項として残します。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。

都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。


次回予告|都市篇 第九十一号

次回の都市は調整中です。日本語名と漢字の都市直接用例を確かめてから選びます。