リットリアからラティーナへ
1945年6月7日付のイタリア王国官報では、リットリアの名が一つの文に二度出てきます。リットリア県のリットリア市に、市の名前を Latina に変えることを認めた箇所です。同じ綴りが市と県を指すので、改称の対象はどちらか、文の主語を確かめておきたいところです。
歴史表記
1945年4月9日付の摂政令第270号は、1月27日付の決議を受けて提出された市側の申請に触れ、Littoria から Latina への改称を認めています。現行の市条例では Comune di Latina と記されます。改称を申請した経緯は令文で確認できますが、新しい名を最初に提案した人物は特定できません。日本語の歴史的な漢字表記も原典画像未確認です。
日本語での用例
厚生労働省の海外感染症情報は、2017年に公表したイタリアの報告で「Latina(ラティーナ)」と併記しています。ここではそのカナ表記を用います。
中国語圏その他の表記との比較
中国・江蘇省の射陽県政府サイトは、県の雑技団が参加した国際サーカス祭の開催地を「意大利拉蒂纳市」と記しています。「市」まで書いてあるので、同名の県を指す資料と区別できます。
二文字・三文字案の比較
拉纳
二字にすると中ほどの「ティー」に当たる手掛かりがなくなります。
拉蒂娜
末字を日本語で「ナ」と読める娜に替えた三字案です。射陽県政府サイトの掲載形とは末字が異なります。
拉蒂納
資料の「拉蒂纳」の纳だけを納へ調整して採る三字案です。末字を別字の娜へ替える「拉蒂娜」とは区別します。日本語では拉に「ラツ」の字音があり、蒂から「ティー」の長音も読み取れないため、読みを添えます。
万国漢字志の暫定案
現代日本語都市名
ラティーナ(Latina)
所属国
イタリア
暫定制定都市名
拉蒂納――改
制定状態
暫定制定・原典継続調査
「改」は、現代の用例「拉蒂纳」を土台に、纳→納と採用字形を本誌が調整したことを示します。出典の引用には元の字形を残します。日本語の伝統的な漢字表記として認定するものではなく、「ラティーナ」の読みを添えます。
ISTATの2024年人口収支確定表によると、2024年12月31日末(2025年1月1日初に相当)の国勢調査調整後の住民人口は127,796人です。自治体コード059011のコムーネ全域を対象とします。同名の県全体とは範囲が異なります。
採らなかった表記と未解決点
拉纳と拉蒂娜は比較案にとどめます。「拉蒂纳」の初出と、日本語でこの都市を漢字で記した歴史的な用例は継続調査とします。
参考資料
- イタリア王国官報「Decreto luogotenenziale 9 aprile 1945, n. 270」。1945年6月7日付第68号。申請の前文と改称許可の本文(抽出19–22、33–34行)。
- ラティーナ市『Statuto』。第1条第2項(PDF検索抽出)。
- 厚生労働省 FORTH「チクングニア熱の発生-イタリア(更新2)」。2017年10月2日、発生地域の記述。
- 射陽県政府サイト掲載・射陽日報「射阳杂技《逐日擎天·头顶技巧》斩获拉蒂纳国际马戏节金奖」。2026年10月25日、本文第2段落(抽出9行)。
- イタリア下院「Costituzione」。第114条第3項。
- ISTAT「Bilancio demografico e popolazione residente」2024年確定自治体表。P2_2024_it_Comuni.csv、3419行、自治体コード059011、Popolazione censita al 31 dicembre - Totale欄。
- GeoNames:Latina。保存済み都市索引の代表点。
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。
次回予告|都市篇 第三百二十五号
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