万国漢字志

都市篇 · スペイン

万国漢字志 都市篇 第三百四十四号|マラガ――古い港町の名と、冊子の「马拉加」――

市の考古学案内のMalakaと公式中国語冊子の「马拉加」を比較し、馬への調整を明記して馬拉加を提案する。


古い港町の名と、冊子の「马拉加」

マラガ市の考古学散策案内には、フェニキア時代の都市として Malaka の名が出てきます。中国語の観光冊子の表紙は「马拉加」。古い名を紹介する市の解説と、いま訪れる人のための三字を並べると、長い時間を隔てても名前を手がかりに同じ港町へ近づけます。


歴史表記

マラガ市の「Rutas Arqueológicas de Málaga」は、フェニキア・ポエニ期を説明する節で Malaka と記し、その中心部をアルカサバ、大聖堂、サン・アグスティン付近に位置づけています。市の説明では、その成立を紀元前7世紀ごろとしています。

今回確認したのは、遺跡を案内する自治体の現代の解説です。古代の貨幣銘文を直接読んだわけではありません。地名の語源を一つの意味に決めるだけの資料もここにはありません。Malaka と現在の Málaga を区別して記し、日本語の歴史的漢字表記は原典未確認のまま残します。


日本語での用例

スペイン観光公式サイトの日本語版は「マラガ」を見出しとし、その近くに Málaga を掲げています。本誌もマラガを現代日本語都市名とします。原綴りのアクセント記号を残すことで、参照先との対応も確認できます。


中国語圏その他の表記との比較

スペイン観光当局の中国語冊子『马拉加』は、表紙にこの三字を大きく配しています。都市を紹介する発行主体の現在の用例として確認でき、表紙画像でも马の字形を確かめました。

引用では「马拉加」を保ち、日本語用の提案では马を馬に調整します。拉・加はそのまま残します。中国語の用例を踏まえた日本語向けの調整であり、日本語で古くから使われていたという判断ではありません。


二文字・三文字案の比較

馬加

二字案として、冒頭と末尾を残す形です。短くても中ほどの「ラ」に相当する部分が落ち、元の三字のつながりが失われます。

馬拉加

三字を保ち、马だけを馬へ調整する案です。字数を増やすことなく元の形をたどれます。ただし、日本語の音読みでは加は通常「カ」で、地名末尾の「ガ」は自動的には決まりません。馬も拉も含め、漢字だけで一意に読める形ではないので、マラガとカナを添えます。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

マラガ(Málaga)

所属国

スペイン

暫定制定都市名

馬拉加――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

「改」は、確認した中国語の「马拉加」をもとに、本誌が日本語用の字形へ調整したことを示します。調整後の表記が原資料に載っているという意味ではありません。読みはマラガとします。

INE(スペイン国立統計局)の年次センサス表68065によると、2025年1月1日の通常居住者人口は597,173人です。自治体コード29067の municipio 全域の値で、周辺の都市圏や同名の県の人口ではありません。市街地以外も含む行政区域の集計です。


採らなかった表記と未解決点

二字の馬加は比較案にとどめます。馬拉加についても、日本語の歴史的な用例や漢字表記の命名者を今回確認したとはしません。Malaka の意味や語源、日本語の古い地図・地理書の表記は要継続調査です。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第三百四十五号

次号の題材は、人口と都市の同一性の確認を経て案内します。