万国漢字志

都市篇 · フランス

万国漢字志 都市篇 第百九十二号|メッス――市議会の文書案に見える二字――

総領事館のメッス市と、市議会の南京との交流文書案にある梅斯を照合。案と締結済み文書を区別し、二字を既として暫定採用する。

以前のnote記事を読む

二字の名前が載る場所

メッスの名を日本語で探すと、在ストラスブール日本国総領事館の写真展の案内に行き当たります。ポンピドゥーセンターのある町として書かれた、メッス市です。

一方、この町の市議会が南京との交流を検討した資料には、フランス語と中国語を並べた文書が付いています。そこにある都市名は梅斯。観光案内ではなく、市が自ら扱った交流文書のなかから、今回は二字を拾います。


歴史表記

メッスの日本語の歴史的漢字表記は、現時点では原典未確認です。 古い地理書や戦史でどの字が使われ、どのような読みが添えられていたかは、要継続調査です。

今回扱うのは2019年の市議会資料で確認した中国語の使用例です。これを明治期などの日本語表記として紹介することはできません。町の歴史と、ある漢字表記が使われた時期とは、分けてたどります。


日本語での用例

在ストラスブール日本国総領事館の「在ストラスブール日本国総領事館開設25周年記念写真展」は、2017年10月11日付の案内です。「今後・・・」の写真説明で、メッス市ポンピドゥーセンターにおける日本シーズンを紹介しています。

本稿ではこの用例に従い、現代日本語都市名をメッスとします。小さいッを含むカタカナ名の確認であり、梅斯を日本語でどう読んだかを示す用例ではありません。漢字の二字を見て「バイシ」と音読みすれば、町の呼び方まで確認できた、ということにはならないのです。


中国語圏その他の表記との比較

メッス市議会の南京との姉妹都市事業に関する2019年11月28日の議案と添付意向書案には、Metzと梅斯が対応して現れます。フランス語の表題と中国語の表題を続けて読めるため、どの町を指す二字なのかを確かめやすい資料です。

ただし、添付されているのは意向書の案です。末尾の署名年月日や場所は空欄で、市議会の決議も案の承認と署名の権限について記しています。この一冊だけを根拠に、姉妹都市関係がその日に正式成立したとは書きません。

ここで確かめたいのは、メッス市が扱う文書案の中国語部分で、町の名に梅斯が使われていることです。最初にこの字を選んだ人物や、中国語圏の全地域での統一表記までは、この資料から分かりません。


二文字・三文字案の比較

梅斯

確認した文書案にある二字です。字形や順番を変えずに採れ、都市篇の標準の二文字にも収まります。本稿の暫定案です。

梅司

斯を司へ替える、本誌の比較案です。二字の形は保てますが、今回の資料にこの用例はありません。日本語で見慣れた字へ替えるだけでは、町との対応が良くなったとは判断できません。

梅都斯

三文字へ広げる、本誌の創案の比較例です。途中に一字を足せば音の区切りを示せそうにも見えますが、その都を置く根拠は今回確認できていません。ラテン文字のつづりの長さに合わせて漢字を増やす必要もないため、採りません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

メッス

所属国

フランス

原資料で確認した現代中国語表記

梅斯

暫定制定都市名

梅斯――既

制定状態

暫定制定・原典継続調査

確認できた既存の二字をそのまま使うため、区分は「既」です。日本語の歴史原典を確認した「史」や、日本語で定着した「伝」とは判定していません。

人口はINSEEの2023年基準で122,572人。2025年1月1日の境界によるメッス自治体全体の人口で、2026年1月1日に発効した版です。周辺自治体を含む広域の人口は足していません。


採らなかった表記と未解決点

梅司は置換案、梅都斯は一字を足す案として比べました。どちらも本誌の検討用の形で、確認済みの古称や別訳ではありません。

梅という字から、町の果物や景観に由来する名だと説明することもできません。今回の資料は都市名の使用を示していますが、字を選んだ理由までは説明していないからです。

日本語歴史原典の漢字と読み、梅斯の初出と選字者、台湾などの地域差、現地音声の精密な確認は継続調査とします。署名済み意向書の確認も、添付案とは別の課題として残します。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第百九十三号

次回はペルピニャン。交流の記事に現れる四字の都市名を、短くする案と比べます。