万国漢字志

都市篇 · フランス

万国漢字志 都市篇 第百九十八号|モントルイユ――機関一覧の住所から、四字の町名へ――

パリ近郊のモントルイユ。自治体国際化協会の訪問報告と台湾教育部の一覧を読み、確認できた四字を省略せず暫定案とする。

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住所の隣にある町の名

外国の町の漢字名は、地図や旅行案内だけに出てくるわけではありません。台湾教育部が公開する欧州の機関一覧にも、**蒙特勒伊(Montreuil)**という地名があります。機関名と所在地を横にたどると、パリ近郊の町に行き着きます。

日本語ではモントルイユ。今回は、この長めのカタカナ名を二字や三字にまとめる案と、確認できた四字を保つ案を比べます。


歴史表記

モントルイユの日本語の歴史的漢字表記は、現時点では原典未確認です。 古い地理書や紀行文の頁で、この町を指す漢字と読みをそろえて確認したものはありません。初出や選字者も要継続調査です。

Montreuilという原綴りだけで、同名の場所を一つにまとめることもできません。本稿が扱うのは、セーヌ=サン=ドニ県にある自治体です。他県の同名自治体に見つかった用例を、場所の確認なしに移すことはしません。

以下の蒙特勒伊は、台湾の現代の一覧に見える形です。日本語の古い漢字表記が発見されたという意味ではありません。


日本語での用例

自治体国際化協会パリ事務所の『フランスの地方自治体における社会統合政策』は、2021年12月6日刊行の調査報告です。本文31頁にモントルイユ市の節があり、2020年1月6日に副市長へ行ったインタビューをもとにした紹介だと記されています。

報告は、パリの東側に隣接する町として、この市の施策を説明しています。本稿の日本語名も、この訪問調査を行った機関の表記に合わせてモントルイユとします。

同頁の人口は2020年の値です。日本語名の用例としては参考にしますが、後に示す2023年基準の人口へ混ぜません。地名の確認と、どの時点の人数を数えたかは、別々に読んでおく必要があります。


中国語圏その他の表記との比較

台湾教育部の「歐洲地區(Europe)」には、印刷頁37、PDFの78頁目に**蒙特勒伊(Montreuil)**が見えます。Agence Bioなどの行の地域欄に記され、同じ行の住所欄にはMontreuilもあります。

ここで読んでいるのは、一覧を作成した機関が所在地を中国語でどう記したか、という事実です。掲載機関の認定の可否や、一覧の他の記述を本稿で審査したわけではありません。また、この一資料だけで中国語圏全体の唯一の標準だとはしません。

確認できる形は蒙・特・勒・伊の四字です。本誌案では字を替えず、その順序も保ちます。台湾の資料に見える用例と、日本語で歴史的に使われた漢字名とは区別します。


二文字・三文字案の比較

蒙伊

最初と最後だけを残す、本誌の二字の短縮案です。短くはなりますが、特勒の二字を省くことになります。今回確認した一覧に、この短い形が載っているわけではありません。

蒙勒伊

特だけを省き、三字にする本誌の短縮案です。都市篇の標準字数には収まります。しかし、原資料のどの部分を省いたかという、新たな判断が一つ加わります。三字だから日本語の「モントルイユ」に自然に読める、ともいえません。

蒙特勒伊

原資料の四字を、そのまま残す案です。二字・三字という本誌の標準からは外れますが、確認できた形と提案する形を直接照合できます。今回は、短縮した形を既存用例のように見せないことを優先し、四字を保持します。

字数を減らすほど読みやすくなるとは限りません。元の字列を残すことで、読者が原資料へ戻りやすくなる場合もあります。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

モントルイユ

所属国

フランス

台湾の原資料で確認した表記

蒙特勒伊

暫定制定都市名

蒙特勒伊――既

制定状態

暫定制定・原典継続調査

確認できた四字を変更せず採るため、区分は「既」です。地名としての読みはモントルイユと示します。四字の通常の日本語音読みをつなげれば、そのまま現地音になるという提案ではありません。

人口はINSEEの2023年1月1日基準で111,934人。2025年1月1日の自治体境界に基づき、2026年1月1日に発効した版の数値です。パリを含めた都市圏全体ではなく、モントルイユ自治体の人口を用いています。


採らなかった表記と未解決点

蒙伊と蒙勒伊は、比較のために本誌が置いた短縮案です。実際に使われたことを確認した別名として数えるものではありません。

日本語の歴史的漢字表記、初出、読みの付された原典、選字者については調査を続けます。今回の台湾資料にも、本誌が確認した箇所にはこの漢字名を誰が作ったかの説明はありません。

四字を残すことは、他の地域や時代の形を退けることではありません。今回は訪問報告のカタカナと機関一覧の漢字を並べ、どこまで資料にあり、どこからが本誌の選択かを見える形にします。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第百九十九号

次回はノルマンディーのカーン。日本語の読みと中国語資料の二字を比べます。