万国漢字志

都市篇 · イタリア

万国漢字志 都市篇 第二百九十九号|パレルモ――世界遺産の街を「巴勒摩」と記す――

パレルモの現代公的用例から巴勒摩を採り、別表記と日本語で読む際の限界を示す。


世界遺産の案内を二つの言語で読む

UNESCO世界遺産センターの日本語案内は、シチリア島の建築群を紹介する見出しにパレルモと記します。台湾の文化資産局が同じ登録資産を案内するページでは、巴勒摩とPalermoが並びます。


歴史表記

世界遺産センターの登録ページでは、シチリアのノルマン王国期の建築群が扱われます。パレルモにある大聖堂などの建築に加え、チェファルーとモンレアーレの大聖堂も登録資産に含まれます。これは登録範囲を示す現代の資料で、当時の都市名を漢字で記した文書を確認したわけではありません。

日本語での歴史的な漢字表記は原典画像未確認です。確認した現代用例から、過去の字形や初出をさかのぼって認定することはできません。


日本語での用例

世界遺産センターの登録ページの日本語欄では、パレルモにある宮殿や大聖堂と、チェファルとモンレアーレにある大聖堂を分けて紹介しています。登録資産は三つの自治体にまたがります。本稿の都市名は、そのうちのパレルモ市を指します。


中国語圏その他の表記との比較

台湾の文化資産局は世界遺産名に巴勒摩を使い、英語の見出しにPalermoを併記しています。中国語の本文では巴勒摩をシチリア島の北岸に位置づけ、チェファルとモンレアーレの大聖堂を別に挙げています。ここで確認したのは、同局の現代中国語用例です。


二文字・三文字案の比較

巴摩

巴勒摩から中の勒を省く本誌の比較案です。冒頭と末尾の字だけでは、三字の典拠との対応が見えにくくなります。

巴礼摩

日本語のパレルモを手掛かりに、中の字をレイと読める礼に替える本誌の比較案です。礼の通常の読みはレイで、レルにはなりません。

巴勒摩

巴勒摩は世界遺産の説明で隣接する都市名と区別して確かめられます。日本語の通常の字音でパレルモの四拍が揃う形ではなく、勒一字にレルの二拍を割り当てる読みも出典からは得られません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

パレルモ(Palermo)

所属国

イタリア

暫定制定都市名

巴勒摩――既

制定状態

暫定制定・原典継続調査

現代の公的用例の字形を採り、本誌では日本語の読み「パレルモ」を添えます。「既」は既存用例に基づく本誌の分類です。

ISTATの2024年人口収支の確定表では、2024年12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は628,693人です。2025年1月1日初に相当する値で、自治体コード082053のコムーネ全域を数えます。大都市自治体Città metropolitana di Palermoやシチリア州の合計とは区別します。


採らなかった表記と未解決点

巴摩への短縮では勒が落ち、巴礼摩への変更では元資料の字形が失われます。 古い日本語資料の用字を採用するには、掲載箇所の画像と、文脈が同じ都市を指すことの確認が必要です。漢字形の初出と命名者は未確定です。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第三百号

人口台帳で次の掲載順に当たるのはジェノヴァです。