地名をたどる
スペインの Pamplona/Iruña。日本語ではパンプローナと呼ぶ都市にも、時代や言語によって異なる名前が重なっています。古い記録と現代の用例を分けて見ながら、漢字表記の候補を考えます。
歴史表記
ストラボン『地理誌』3巻4章10節の英訳には「Pompelon」とあり、ポンペイウスの都市と説明されています。これは古典の英訳に現れる綴りで、ギリシア語の写本原本を実見したわけではありません。市の解説は、Pamplona と Iruña をそれぞれカスティーリャ語とバスク語の名として示します。
日本語の歴史的漢字表記については、現時点で原典未確認です。古いラテン文字等の地名を、漢字の歴史的用例と取り違えないようにします。
日本語での用例
スペイン観光公式サイトの日本語版に「パンプローナ」の呼び名が見えます。本稿ではその表記を用います。同サイトの見出しは「パンプローナ・イルニャ」で、二つは別の自治体ではなく、同じ都市を指す名称です。
中国語圏その他の表記との比較
中国国家体育総局の秦皇島訓練基地は、同基地で練習してきた選手の2026年世界大会について、開催地を「西班牙潘普洛纳」と記しています。現代中国語の用例です。
出典の表記は「潘普洛纳」。本誌は「潘普洛納」を暫定案とし、「纳」を日本語で用いる「納」に改めました。 同じ字形をそのまま用いる「既」ではなく、既存表記に手を加えた「改」です。確認したのは現代中国語の用例で、日本語における歴史的定着ではありません。
候補の比較
潘普洛納
出典を手がかりに日本語で用いる字形を優先した本誌の案です。通常の二字・三字を超えますが、音に対応する部分を残すことを優先しました。
潘普洛纳
中国語の用例を原文の字形のまま残す四字案です。 出典の字形と同じであることには利点があります。
般布路
パン・プ・ロを手がかりに本誌が作った三字案です。末尾のナを表さず、既存用例も確認していません。 短くできますが、読みの対応や地名の特定には限界があります。
万国漢字志の暫定案
現代日本語都市名
パンプローナ(Pamplona/Iruña)
所属国
スペイン
暫定制定都市名
潘普洛納――改
制定状態
暫定制定・原典継続調査
INEの年次センサス表68065による2025年1月1日の通常居住者人口は 209,676人。自治体コード31201の municipio 全域の値です。中心市街地だけの人口でも、周辺の独立した自治体を合算した都市圏人口でもありません。市内の地区や集落を別の自治体として重ねて数えません。
採らなかった表記と未解決点
四字の採用案は元の四音節に対応しますが、納を含め通常の日本語音だけでパンプローナとは読めません。また Iruña の音は示していません。 漢字による歴史的用例の原典、現代中国語表記の初出や命名者は要継続調査です。比較案は史実を示すものではありません。
参考資料
- 歴史資料・掲載機関による説明。原本・翻刻・翻訳の区別は本文参照。
- 現地自治体の解説。地名や歴史的範囲の補足。
- スペイン観光公式サイトの日本語ページ。現代日本語名。
- 現代中国語の用例。出典の字形を本文に保持。
- INE:Población según municipio y sexo、表68065。2026年11月7日保存版、31201、2025年・男女計。
- GeoNames:Pamplona/Iruña。代表点であり、人口や自治体境界の根拠とは区別。
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。
次回予告|都市篇
第三百六十八号はアルメリアを取り上げます。
