万国漢字志

都市篇 · スペイン

万国漢字志 都市篇 第三百六十七号|パンプローナ――地名の来歴と「潘普洛納」――

パンプローナの地名と漢字用例をたどり、本誌の暫定案を考える。


地名をたどる

スペインの Pamplona/Iruña。日本語ではパンプローナと呼ぶ都市にも、時代や言語によって異なる名前が重なっています。古い記録と現代の用例を分けて見ながら、漢字表記の候補を考えます。


歴史表記

ストラボン『地理誌』3巻4章10節の英訳には「Pompelon」とあり、ポンペイウスの都市と説明されています。これは古典の英訳に現れる綴りで、ギリシア語の写本原本を実見したわけではありません。市の解説は、Pamplona と Iruña をそれぞれカスティーリャ語とバスク語の名として示します。

日本語の歴史的漢字表記については、現時点で原典未確認です。古いラテン文字等の地名を、漢字の歴史的用例と取り違えないようにします。


日本語での用例

スペイン観光公式サイトの日本語版に「パンプローナ」の呼び名が見えます。本稿ではその表記を用います。同サイトの見出しは「パンプローナ・イルニャ」で、二つは別の自治体ではなく、同じ都市を指す名称です。


中国語圏その他の表記との比較

中国国家体育総局の秦皇島訓練基地は、同基地で練習してきた選手の2026年世界大会について、開催地を「西班牙潘普洛纳」と記しています。現代中国語の用例です。

出典の表記は「潘普洛纳」。本誌は「潘普洛納」を暫定案とし、「纳」を日本語で用いる「納」に改めました。 同じ字形をそのまま用いる「既」ではなく、既存表記に手を加えた「改」です。確認したのは現代中国語の用例で、日本語における歴史的定着ではありません。


候補の比較

潘普洛納

出典を手がかりに日本語で用いる字形を優先した本誌の案です。通常の二字・三字を超えますが、音に対応する部分を残すことを優先しました。

潘普洛纳

中国語の用例を原文の字形のまま残す四字案です。 出典の字形と同じであることには利点があります。

般布路

パン・プ・ロを手がかりに本誌が作った三字案です。末尾のナを表さず、既存用例も確認していません。 短くできますが、読みの対応や地名の特定には限界があります。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

パンプローナ(Pamplona/Iruña)

所属国

スペイン

暫定制定都市名

潘普洛納――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

INEの年次センサス表68065による2025年1月1日の通常居住者人口は 209,676人。自治体コード31201の municipio 全域の値です。中心市街地だけの人口でも、周辺の独立した自治体を合算した都市圏人口でもありません。市内の地区や集落を別の自治体として重ねて数えません。


採らなかった表記と未解決点

四字の採用案は元の四音節に対応しますが、納を含め通常の日本語音だけでパンプローナとは読めません。また Iruña の音は示していません。 漢字による歴史的用例の原典、現代中国語表記の初出や命名者は要継続調査です。比較案は史実を示すものではありません。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇

第三百六十八号はアルメリアを取り上げます。