万国漢字志

都市篇 · フランス

万国漢字志 都市篇 第百九十三号|ペルピニャン――四字を残す理由――

Campus Franceのペルピニャンと福州市公式掲載記事の佩皮尼昂を照合。二字・三字の短縮案と比較し、既存四字を字数例外として暫定採用する。

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四字のまま、町へたどる

フランスで学び始める人に向けたCampus Franceの案内には、学生を迎える仕組みのある町としてペルピニャンが登場します。日本語で六文字のこの名は、福州市の公式サイトでは佩皮尼昂と書かれています。

四字あれば、都市篇の標準である二字か三字へ縮めたくなります。ただ、既に使われている名前から一字を省くとき、何が残り、何が落ちるのでしょう。今回は、短縮案も並べてから四字を残す理由を考えます。


歴史表記

ペルピニャンの日本語の歴史的漢字表記は、現時点では原典未確認です。 古い旅行記や地理書の本文で漢字と読みを確認したわけではありません。初出や選字者も、要継続調査です。

本稿の佩皮尼昂は、現代中国語の都市交流記事で確かめた形です。この四字が以前から使われている可能性と、その古さを原典で確認できたこととは別です。確認した使用例の日付を示し、それより前の歴史を推測で補いません。


日本語での用例

Campus France Japonの「フランス到着後の流れ」は、2026年7月7日更新と表示する日本語の案内です。メンター制度について説明する箇所で、モンペリエ、ニームとともにペルピニャンを挙げています。

留学先で生活を始める人に向けて、町の名がカタカナで使われている例です。本稿の現代日本語都市名も、そのペルピニャンとします。大学名に含まれる語から都市名を推定するのではなく、町を列挙する本文で確認できる点を採りました。

この案内は日本語名の用例として使います。学生支援の窓口や制度が現在どう運用されているかを、本稿で案内するための引用ではありません。


中国語圏その他の表記との比較

福州市人民政府ポータルには、2026年10月17日付で「福州市与法国佩皮尼昂市签署 加强友好交流合作的谅解备忘录」が掲載されています。福州日報社の電子版を出典とする記事で、見出しと本文に佩皮尼昂市が繰り返し現れます。

記事は両市の交流に関する覚書を扱っています。本稿が確かめるのは、その文中で町の名に佩皮尼昂の四字が使われることです。掲載元が公式サイトであることと、掲載元自身が独自に取材・命名した資料であることは同じではありません。

また、本文には市と地中海の広域自治体を指す呼称がともに出てきます。名称を照合できても、その広域の人口を市の人口へ移すことはできません。本稿の人口には、INSEEが示すペルピニャン自治体全体の値を使います。

四字の中国語表記と、カタカナのペルピニャンは、別々の言語の用例です。日本語の一音ごとに漢字が一つずつ対応している、と読み替えることもしません。


二文字・三文字案の比較

佩昂

原資料の最初と最後を残す、本誌の二字の短縮案です。収まりはよくなりますが、中の二字がなくなり、確認した使用例との距離が大きくなります。今回の資料で、この二字だけを町の名とする用例は確認していません。

佩尼昂

皮を省く、本誌の三字の短縮案です。都市篇の標準字数には収まるものの、なぜその一字だけを落としてよいのか、十分な根拠がありません。日本語名のペルピニャンにある音のつながりも、短縮だけで表しやすくなるとは言えません。

佩皮尼昂

原資料の四字をそのまま残す案です。標準の二字・三字を超えますが、既存用例へ戻って確かめやすく、字を省くための新たな判断を加えずに済みます。今回は、この四字を例外として採ります。

短さは比べる基準の一つです。ただ、短くした形の使用例も、短縮を支える別の根拠も確認できていないなら、四字を保つ選択にも理由があります。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

ペルピニャン

所属国

フランス

原資料で確認した現代中国語表記

佩皮尼昂

暫定制定都市名

佩皮尼昂――既

制定状態

暫定制定・原典継続調査

原資料で使われている四字を、字形も順序も変えずに採用するので「既」です。二字・三字を標準とする都市篇では字数の例外ですが、根拠のない省略を避け、確認できた形との対応を保つために四字を残します。

人口はINSEEの2023年基準で121,616人。2025年1月1日の境界によるペルピニャン自治体全体の人口で、2026年1月1日に発効した版です。広域自治体や周辺市を加えた人口ではありません。


採らなかった表記と未解決点

佩昂と佩尼昂は、原資料を短くする本誌の比較案です。そのまま採った佩皮尼昂とは区別し、既存の別表記であるかのようには扱いません。

佩・皮・尼・昂それぞれの字義を組み合わせて、町の語源や性格を説明することもできません。今ある四字を確認できたことと、その四字が選ばれた経緯を説明できることは別です。

日本語の歴史原典、漢字表記の初出と選字者、台湾などの地域ごとの形、現地音声の精密な確認は継続調査です。今回の記事に載る形が、中国語圏の唯一の形だとも断定しません。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第百九十四号

次回はブーローニュ・ビヤンクール。二つの部分からなる都市名を、漢字でどうつなぐかを考えます。