万国漢字志

都市篇 · イタリア

万国漢字志 都市篇 第三百三十一号|ペスカーラ――合併を記した官報と「佩斯卡拉」――

1927年の官報に記された自治体合併と、福州市の友好都市資料の漢字表記をたどる。


合併を記した官報と「佩斯卡拉」

1927年1月11日付のイタリアの官報では、ペスカーラが二つの条文に登場します。第1条では新設の県とその県都の名。第4条では、カステッランマーレ・アドリアーティコが編入される自治体の名です。四字の「佩斯卡拉」が指す都市も、ここではコムーネを単位に扱います。


歴史表記

ペスカーラ市の景観規則の解説では、川の橋を守る要塞のあった場所の旧名として Aternum と、それに続く Piscaria を挙げています。1927年の勅令法第4条には、Castellammare Adriatico を Pescara に合わせるとあります。古い地名は旧市街の沿革、勅令法は近代の自治体の合併を伝える資料です。日本語の歴史的な漢字表記は原典未確認です。


日本語での用例

在イタリア日本国大使館の2020年の主要病院一覧は、都市名を「ペスカーラ」とし、その欄に Presidio Ospedaliero Pescara を載せています。


中国語圏その他の表記との比較

福州市人民政府外事弁公室の中国語・英語対訳資料には、2025年9月17日の友好都市協定について、「佩斯卡拉市」と Pescara City が対応して出てきます。「市」を外した四字が、資料中の都市名です。


二文字・三文字案の比較

佩拉

両端だけを残す二字案です。中ほどの「スカー」に相当する手掛かりが抜けます。

佩卡拉

「斯」を省く三字案です。「卡拉」を残せますが、「ス」の手掛かりを失い、対訳資料の表記からも一字減ります。

佩斯卡拉

対訳資料をそのまま引ける四字案です。「斯」の字音は日本語で「シ」であり、「カー」の長さも漢字からは分かりません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

ペスカーラ(Pescara)

所属国

イタリア

暫定制定都市名

佩斯卡拉――既

制定状態

暫定制定・原典継続調査

「既」は資料で確認できる字形を採ったことを示す本誌の分類です。本誌では「ペスカーラ」と読みを添えます。

ISTATの2024年人口収支確定表では、2024年12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は118,313人です。2025年1月1日初に相当し、自治体コード068028のコムーネ全域を対象とします。同名の県や、合併前のペスカーラだけの人口とは区別します。


採らなかった表記と未解決点

佩拉と佩卡拉は比較案にとどめます。Aternum や Piscaria の初出と、日本語の漢字表記の有無は引き続き原資料で調べます。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第三百三十二号

人口選定資料の次の掲載順はフォルリです。