万国漢字志

都市篇 · イタリア

万国漢字志 都市篇 第三百三十七号|ピアチェンツァ――ポー川沿いの植民市と「皮亞琴察」――

リウィウスの Placentiam と大学の交流資料に見える「皮亚琴察」をたどる。採用名は字形を調整した「皮亞琴察」(改)とする。


ポー川沿いの植民市と「皮亞琴察」

ハンニバルがまだアルプスを越えていないころ、ポー川の近くでは、ローマが設けたばかりの植民市に反発が起きていました。リウィウスがそのくだりでクレモナと並べて挙げる Placentiam が、現在のピアチェンツァにつながる名です。現代の大学案内でも、ピアチェンツァとクレモナは一つの見出しに並びます。


歴史表記

リウィウスの『ローマ建国史』第21巻第25章にある Placentiam は、地名 Placentia の対格です。エミリア=ロマーニャ州の観光案内では、現在のピアチェンツァにあるファルネーゼ宮の地下に、ローマ時代の Placentia を扱う展示が紹介されています。日本語の歴史的な漢字表記は原典画像で確認できていません。


日本語での用例

外務省の在留邦人数の統計資料では、在ミラノ総領事館の管轄欄に「EMI(ピアチェンツァ)」と Piacenza が上下に並びます。ここではカナと原綴りの対応を確認できます。


中国語圏その他の表記との比較

西北農林科技大学が掲載したカトリカ大学の交換留学資料は、英語開講科目の見出しで PIACENZA-CREMONA CAMPUS と「皮亚琴察-克雷莫纳校区」を併記しています。雲南農業大学の夏季プログラムの募集資料にも「皮亚琴察校区」が見えます。いずれも、留学先のキャンパスを示す現代中国語の用例です。


二文字・三文字案の比較

皮察

両端だけを残す二字案です。「ピアチェンツァ」の中ほどが落ち、大学案内の用字との対応も追いにくくなります。

皮琴察

亚を省く三字案です。琴を残すので二字案よりも元の形をたどれますが、冒頭の「ピア」に対応する字並びは失われます。

皮亞琴察

大学案内の「皮亚琴察」の四字と順序を保ち、亚だけを亞へ調整して採る案です。キャンパス名の用例を市の公式命名として認定するものではありません。日本語で皮は「ヒ」、琴は「キン」、察は「サツ」と読むことがあり、この並びから「ピアチェンツァ」と読むのは難しいでしょう。カナを添えます。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

ピアチェンツァ(Piacenza)

所属国

イタリア

暫定制定都市名

皮亞琴察――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

「改」は、現代の用例「皮亚琴察」を土台に、亚→亞と採用字形を本誌が調整したことを示します。出典の引用には元の字形を残します。日本語の伝統的な漢字表記として認定するものではなく、「ピアチェンツァ」の読みを添えます。亚に対しては日本の字体の亜もありますが、本誌では既刊の亞を用いる表記との整合から、繁体字の亞を意識的に選びます。出典が亞を使っているという意味でも、別地域での使用例を新たに確認したという意味でもありません。

ISTATの2024年人口収支確定表では、12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は103,406人です。2025年1月1日初に相当する値で、自治体コード033032のコムーネ全域を集計しています。同名の県や周辺を含む都市圏の人口は別の集計です。


採らなかった表記と未解決点

皮察と皮琴察は比較案にとどめます。日本語での歴史的な漢字表記と、現代中国語の用字の初出は引き続き調査します。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第三百三十八号

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