万国漢字志

都市篇 · スペイン

万国漢字志 都市篇 第四百二号|リバス・バシアマドリード――長い都市名の、どこを残すか――

市の再建を伝える刊行物と大学の中国語資料から、全名を保持しつつ里瓦斯という短縮案を考える。


短く呼ぶ前に、長い名を読む

マドリード・カルロス3世大学の中国語資料は、地域の説明に「里瓦斯-瓦西亚马德里(Rivas-Vaciamadrid)」と記します。長い表記ですが、原綴りまで並んでいるので、どの町を指すかが分かります。UC3Mの中国語研究紹介、PDF1ページ目

この地名を三字に縮めるとき、何が失われるのでしょうか。対象をスペインの自治体Rivas-Vaciamadrid、INEコード28123に固定し、確認した全名と本誌の短縮案を分けて考えます。


歴史表記

市が発行する『Rivas al Día』第190号の12ページには、旧市街の60周年を扱う記事があります。1930年代の名を「Ribas de Jarama y Vaciamadrid」と書き、内戦で破壊された町と、その後の再建について説明しています。新しい町の1959年7月23日という日付も、この現在の市刊行物による回顧として確認できます。市刊行物、2019年7〜8月号

確認したのは2019年のPDF本文で、当時の再建認可書、自治体名称を変更する告示、1930年代の台帳原本を実見したわけではありません。新しい市街地の開設と、自治体の法的成立や改称の日付を同じものにはせず、この日を地名の初出ともみなしません。

同記事の「Ribas」と、現在の公式人口表の「Rivas」は字の違いを残して引用します。前者を本稿が原文書で確認した正式旧称と断定するものではありません。過去の集落と現在の自治体の範囲の一致も未確認です。日本語の歴史的漢字表記は原典未確認のまま残します。


日本語での用例

マドリードの公式観光サイトVisitMadridの日本語見出しは「リバス・バシアマドリード」です。本誌もこのカナを採り、原綴りはINEの「Rivas-Vaciamadrid」を併記します。VisitMadridの日本語ページ

同ページがマドリード首都圏の目的地として分類していても、首都圏全体と、この一自治体は別です。日本語ページの歴史説明や人口概数を、原史料の確認や本稿の人口算定の根拠にはしません。町の名に Madrid が含まれることも、マドリード市と同一自治体であることを意味しません。


中国語圏その他の表記との比較

UC3Mの資料は、カニャダ・レアル地区のエネルギー問題を紹介する大学自身の中国語発表です。1ページ目の地域説明に「里瓦斯-瓦西亚马德里(Rivas-Vaciamadrid)」という対応があり、大学の現代実用例として直接確認できます。紹介された研究論文そのものの全文を、本稿が読んだという意味ではありません。大学公開PDF

引用では「亚」「马」の簡体字も、ハイフンも原文のまま残します。日本語の字形に調整して全体を示すなら「里瓦斯・瓦西亜馬徳里」となりますが、これは本誌が手を加えた形です。原文と同一の用例として掲げません。

本誌が選ぶ「里瓦斯」は、その先頭三字を残し、ハイフンと「瓦西亚马德里」を省く案です。残した字の形が同じでも、省略したのは本誌なので区分は「改」とします。同じPDFには研究者の姓の一部にも「里瓦斯」が現れますが、それを三字だけの都市略称の用例には数えません。

大学資料の調査対象地区、町、マドリード自治州や都市圏はそれぞれ別です。資料にある地区住民の人数を、本稿の自治体人口には流用しません。本文テキストは取得できましたが、PDFのページ画像は未確認です。


二文字・三文字案の比較

里瓦斯

原文の前半を保つ三字の「改」案です。後半のVaciamadridを丸ごと失うので、全名の音写にはなりません。通常の日本語では「瓦」はガ、「斯」はシなどとなり、前半のリバスさえそのまま読めるわけではありません。長いカナ名・原綴り・自治体コードを一緒に示すことを前提にします。

里瓦

さらに「斯」も省く二字の「改」案です。短くなりますが、Rivasの末尾の音も失い、他の地名や語との識別がいっそう難しくなります。日本語の通常の読みからリバス・バシアマドリードを復元することはできません。実際の都市略称は未確認です。

里馬徳

原文の先頭の「里」と、後半の「马德」を残し、ほかの字とハイフンを省いて「馬徳」へ字体調整する、本誌の三字の「改」案です。二つの部分に字を配れますが、どちらの語も途中を落とします。「徳」は通常トクで、マドリードの音にはならず、原名の形を示す上でも補足が必要です。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

リバス・バシアマドリード(Rivas-Vaciamadrid)

所属国

スペイン

暫定制定都市名

里瓦斯――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

INE年次人口センサス表68065による2025年1月1日の通常居住者人口は103,243人。Sexo=Total・Periodo=2025、コード28123の municipio 全域です。旧市街だけでも、大学資料の調査対象地区だけでも、マドリード市・県相当の行政範囲・自治州・都市圏全体でもありません。INE表68065

2026年11月7日保存版を使用しました。公表日は2025年12月2日、対応PXの作成日表示は2026年4月30日。保存CSVのSHA256は 9e37188faa63aa86e7a8648469834beaa2e728e5338e3364ef1ce4685178d419、該当原行は物理66122行です。

国・現在の全名・自治体コードを一組で保持します。代表点は選定資料のGeoNamesの位置を継承し、独立した自治体境界ポリゴンの版は未確認です。原名の一部を共有する他の地名や、人名のRivasを、この自治体へ自動的に結びつけません。


採らなかった表記と未解決点

「里瓦斯」は音の一部分を残す本誌案です。確認した全名の中国語表記を置き換える公定略称でも、以前から単独で使われてきたと証明した都市名でもありません。短さと引き換えに失う部分を、全名の併記で補います。

日本語の歴史的漢字原典、漢字表記の初出・命名者、三字単独の都市略称の実例は未確認です。改称や境界変更の告示原本、旧集落の原記録と現在の自治体との厳密な照合も継続調査に残します。


参考資料

  • 市刊『Rivas al Día』第190号。奥付は2019年7〜8月、発行は市。12ページ、Eugenio G. Delgado「Casco Antiguo: 60 años de historia」。PDF本文を直接取得。1959年や1930年代の原文書は未見。
  • VisitMadrid:リバス・バシアマドリード。公式日本語見出しをHTMLで直接確認。成立・更新年月不記載。歴史と人口の根拠には用いません。
  • UC3M、中国語研究紹介。1ページ目の原語併記の地名。紹介される報告・論文は2023年ですが、この紹介文自体の発行日は未確認。PDF本文取得、ページ画像は未確認。
  • INE表68065。2026年11月7日保存、28123 Rivas-Vaciamadrid、2025年・男女計の原行。
  • スペイン憲法。第5条、国家の首都はマドリード。
  • GeoNames:Rivas-Vaciamadrid。選定資料から継承した代表点。人口・境界の根拠ではありません。

編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第四百三号

第四百三号はバラカルドを取り上げます。