万国漢字志

都市篇 · イタリア

万国漢字志 都市篇 第三百二十五号|サレルノ――大聖堂の二つの礼拝堂と「薩萊諾」――

大聖堂の礼拝堂を伝える市の案内と、港や研修先に使われるサレルノの表記を照合する。採用名は字形を調整した「薩萊諾」(改)とする。


大聖堂の二つの礼拝堂と「薩萊諾」

サレルノの大聖堂には、サンタ・カテリーナの名を持つ礼拝堂が上下にあります。市の案内によれば、どちらも12世紀から13世紀にかけて授業に使われ、サレルノ医学校ゆかりの場所とされています。


歴史表記

イタリア文化省の文化財目録は、旧市街の街路にローマ時代の都市 Salernum の痕跡が残ると説明しています。ここで参照したのは目録本文の綴りです。古代の銘文における用字や、日本語の歴史的な漢字表記は原典画像で確認できていません。現在の自治体名は市条例の表題にある Comune di Salerno です。


日本語での用例

桃山学院大学の留学案内は、アカデミア・イタリアーナへの派遣先を「イタリア(サレルノ)」と記しています。


中国語圏その他の表記との比較

中国国際貿易促進委員会浙江省委員会のサイトに掲載された港湾記事は、イタリアの港の一覧に「萨莱诺港(Salerno)」を載せています。台湾の輔仁大学が掲載した研修日程では、ナポリからの行き先に「薩萊諾(Salerno)」とあります。前者は港、後者は行程上の都市を指す用例です。


二文字・三文字案の比較

萨诺

二字にすると、原綴りの中央にある le に当たる字が落ちます。

薩萊諾

港湾記事の「萨莱诺」を土台に、萨→薩・莱→萊・诺→諾と字形を調整して本誌が採る三字です。既稿は輔仁大学の研修日程に同形の用例を記録していますが、今回その資料を再検証して採用根拠にしたものではありません。

萨莱诺

港湾記事に見える引用字形です。引用は「萨莱诺」のまま保ち、採用形「薩萊諾」と区別します。字形を調整しても、字音だけでは「サレルノ」の「ル」まで示せないため、読みを添えます。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

サレルノ(Salerno)

所属国

イタリア

暫定制定都市名

薩萊諾――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

「改」は、現代の用例「萨莱诺」を土台に、萨→薩・莱→萊・诺→諾と採用字形を本誌が調整したことを示します。出典の引用には元の字形を残します。日本語の伝統的な漢字表記として認定するものではなく、「サレルノ」の読みを添えます。採用の根拠は港湾記事の「萨莱诺」を調整したことであり、輔仁大学資料の再検証によって「既」としたものではありません。

ISTATの2024年人口収支確定表によると、2024年12月31日末(2025年1月1日初に相当)の国勢調査調整後の住民人口は126,000人です。自治体コード065116のコムーネ全域を対象とします。同名の県全体とは範囲が異なります。


採らなかった表記と未解決点

薩萊諾を港湾記事の字形を調整した「改」として採り、萨诺は比較案にとどめます。輔仁大学の用例については今回の再検証を行っておらず、「既」の採用根拠にはしません。両字形の初出と、日本語でこの都市を漢字で記した歴史的な用例は継続調査とします。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第三百二十六号

人口選定資料の次の掲載順はジュリアーノ・イン・カンパーニアです。