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都市篇 · コートジボワール

万国漢字志 都市篇 第七十三号|サンペドロ――四字「聖佩德羅」と港湾建設で育った都市

サンペドロはバ・ササンドラ自治区とサンペドロ州の中心都市で、コートジボワール第二の港を擁する。2021年国勢調査の同名行政単位人口は390,654人。

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四字「聖佩德羅」と港湾建設で育った都市

都市篇第七十三号は、コートジボワール南西部の港湾都市サンペドロです。

コートジボワール大統領府は、サンペドロをバ・ササンドラ自治区とサンペドロ州の中心都市とし、その港をアビジャン港に次ぐ同国第二の港と紹介しています。2021年国勢調査で、都市と同名の行政単位として集計された人口は390,654人です。

漢字表記には、高雄市政府が姉妹都市のSan Pedroへ直接用いる聖佩德羅を採ります。四字ですが、対象都市が明確な公的用例です。今回の調査では、同じ都市へ直接使われた、出典のある二字形または三字形を確認できませんでした。短くするためだけに字を落とさず、根拠のある四字を残します。


日本語では「サンペドロ」

日本国外務省の「サンペドロ・マン送変電設備整備計画」案件概要書は、本文と地図の双方でサンペドロと記します。国際協力機構のコートジボワール関連ページも同じ表記を用いています。本稿の現代日本語都市名はサンペドロとします。

国立国会図書館サーチでは、「サンペドロ コートジボワール」を中心に公開検索を行いました。確認できた現代日本語の書誌やJICA報告書の記録はカタカナ表記で、今回区切った検索範囲では、この都市へ直接用いられた日本語の歴史的漢字表記を特定できませんでした。

これは漢字形が存在しないことの証明ではありません。本文検索できない地図や画像、異なる綴りや音写には未確認の用例が残る可能性があります。このため、歴史表記は登録せず、継続調査とします。


高雄市政府の「聖佩德羅市」

高雄市政府の姉妹都市・友好都市サイトは、2024年11月5日に提携した都市を**聖佩德羅市(San Pedro)**と記しています。国名は象牙海岸、地域は西アフリカと明記されており、別のSan Pedroではなく、コートジボワールの対象都市を指す直接用例です。

同ページは、聖佩德羅市を同国第二の経済圏とし、経済が港湾産業を中心に成り立つと説明しています。また、聖佩德羅港をアビジャンに次ぐ同国第二の港としています。これらは高雄市政府ページの説明として記録し、資料が示していない別の指標や時点の順位へ広げません。

聖・佩・德・羅の四字は、都市名San Pedroを写す既存の繁体字形です。ただし、台湾で公的に使われていることと、日本語で歴史的に定着した漢字名であることは同じではありません。本稿では、日本語の都市索引へ新たに取り込む案として、制定区分を創とします。


中国外交部の二つの簡体字形

中華人民共和国外交部が2010年に掲載した在コートジボワール中国大使館の記事は、都市を圣·佩德罗市、港を圣·佩德罗港と記しています。中央の中黒を含む四字音写です。

同じ外交部が2019年に掲載した記事には、中黒のない圣佩德罗市が現れます。二つは区切り記号の有無が異なりますが、いずれも聖佩德羅と字が対応する簡体字の公的直接用例です。

本稿の制定形は、高雄市政府が実際に掲げる繁体字の聖佩德羅です。中国外交部の原文を繁体字だったかのようには扱わず、原資料の圣·佩德罗と圣佩德罗も併記して区別します。


二文字・三文字へ縮めない

都市篇では二字または三字を標準とします。しかし、標準の字数は、確認できた直接用例を機械的に切り縮める理由にはなりません。

今回確認した公的資料は、高雄市政府の聖佩德羅、中国外交部の圣·佩德罗と圣佩德罗で、いずれも四字を保っています。国立国会図書館サーチを含む限定的な調査でも、この都市を指す信頼できる二字形または三字形は特定できませんでした。

どの音を省き、どの字を残すかを裏付ける資料がない以上、短縮形を新造しません。四字の聖佩德羅は本誌の標準字数から外れますが、対象都市への権威ある直接用例を優先する、意図的な例外です。


「聖ペテロの日」の伝承と地名の移動

サンペドロ大学が公開する研究資料は、もとの小集落をクルメン人の漁村Héとし、ポルトガル人Soeiro da Costaが2月22日にこの地を「発見」し、その日の守護聖人にちなみSan Pedroと名づけたという説明を紹介しています。しかし原文は、A. Schwartzの研究を引きながら「そうであったとされる」に当たる条件付きの言い方をしています。

これに対し、IRDが公開する『Du Sassandra au Cavally』は、Rio de Sam Pedroという名が1506年から1508年のDuarte Pacheco Pereiraの航海案内に初めて現れるものの、当時それが指したのは現在のサンペドロ川ではなく、別のTabou川だったと論じます。現在の位置にSan Pedro川の名が現れるのは18世紀半ばだとしています。

したがって、Soeiro da Costaを現在の都市の確定した命名者とはしません。彼は命名伝承に現れる候補人物にとどまります。San Pedroという名が現在地で最初に使われた時期と、その移動または再配置を決めた人物は、今回の資料からは確定できません。


港の建設で膨らんだ町

サンペドロ自治港の都市紹介によれば、サンペドロは1968年まで人口40人の小さな漁村でした。港湾建設の開始から一年後には6,000人を超え、さらに三年足らずで25,000人と推計される町へ変わったといいます。港の建設と人口流入が、都市の規模を短期間で変えました。

同港の沿革は、1968年8月12日に港湾工事の定礎が行われ、1968年から1971年に建設工事が進んだと記します。1971年5月には船舶Korhogoの入港をもって正式供用が始まり、1972年12月4日に港が開港式を迎えました。

沿革が説明する「オペレーション・サンペドロ」は、港を南西部開発の核とし、アビジャン港に代わる選択肢をつくる地域開発事業でした。現在のサンペドロを漁村から港湾都市へ変えた転機として、これらの日付を分けて記録します。


バ・ササンドラの中心と第二の港

コートジボワール大統領府は、バ・ササンドラ自治区がサンペドロ州、グボクレ州、ナワ州から成り、サンペドロが自治区の中心であると説明します。同時にサンペドロは、同名州の中心都市でもあります。

同ページは、サンペドロ港をアビジャン港に次ぐ国内第二の港と位置づけています。高雄市政府も港湾産業とカカオ輸送を都市の特色として挙げていますが、本稿では、各資料が使う説明をそのままの範囲で扱います。貨物量や輸出量について、異なる年の統計を組み合わせて現在の順位を断定しません。

日本国外務省の2025年案件概要書は、サンペドロとマンの既存変電所に設備を増設し、両都市間に送電線を新設する計画を掲げています。サンペドロが、コートジボワール中西部・北部と周辺国への送電容量を高める広域送電網整備の対象に含まれることを示す資料です。


国連地名データの代表座標

国連地名専門家グループの都市データは、San-Pédroの代表座標を北緯4.75704192379413度、西経6.65456215360842度としています。

本誌の地図にはこの値を用います。これは都市を示す代表点であり、市域の重心、行政境界から計算した中心点、港湾施設または市役所の位置を精密に示す値ではありません。

日本国外務省はコートジボワールの首都をヤムスクロとし、実質的首都機能はアビジャンにあると説明しています。したがって、サンペドロは首都ではありません。


同名行政単位人口は390,654人

コートジボワールの2021年人口・住宅国勢調査は、「sous-préfecture(郡)またはコミューン」単位の表でSAN-PEDROを390,654人と集計しています。内訳は男性205,927人、女性184,727人で、基準日は2021年12月14日です。

これは、サンペドロという都市名と同じ名を持つ行政単位の人口であり、市街地だけを切り出した都市集落人口や、連続した市街地全体の人口ではありません。

同じ表には、Doba、Dogbo、Gabiadji、Grand-Béréby、San-Pedroを含む、より広いサンペドロ県の合計790,242人も載ります。本誌の一覧には県全体ではなく、同名行政単位の390,654人を自治体相当として掲載します。


万国漢字志への取り込み

暫定制定都市名には、四字の聖佩德羅を採ります。制定区分は創です。

根拠は、高雄市政府がコートジボワールの姉妹都市San Pedroへ直接用いる聖佩德羅市と、中国外交部が用いる対応する簡体字形です。日本語の歴史的漢字表記を継承する「史」や、現代日本語ですでに定着した漢字名を示す「既」にはしません。

四字は都市篇の標準外ですが、出典のある二字形・三字形が見つからない以上、直接確認できる四字形を機械的に縮めません。都市名の命名者と、聖佩德羅の漢字を最初に選んだ人物は、いずれも未確定です。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

サンペドロ

所属国

コートジボワール

台湾の公的用例

聖佩德羅

中国大陸の公的用例

圣·佩德罗/圣佩德罗

暫定制定都市名

聖佩德羅――創

制定状態

暫定制定・日本語漢字原典、都市名と漢字表記の初出・選定者を継続調査


採らなかった表記と未解決点

中国外交部の圣·佩德罗と圣佩德罗は、対象都市への公的な直接用例です。ただし簡体字の原文形であるため、本稿の制定形には高雄市政府が直接用いる繁体字の聖佩德羅を採りました。

二字形・三字形は採りません。今回確認した範囲で直接用例を特定できず、四字から任意の字を落とせば、史料ではなく本稿の都合による短縮になるためです。

未解決点は、日本語資料における歴史的漢字表記、San Pedroという名が現在地へ結び付いた最初の用例とその選定者、聖佩德羅・圣·佩德罗・圣佩德罗の初出と漢字選定者です。Soeiro da Costaは命名伝承に現れる候補ですが、IRDの研究が示す地名位置の変化を踏まえ、現在の都市の命名者としては登録しません。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。

都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。


次回予告|都市篇 第七十四号

次は、ササンドラです。

海岸を東へ進み、コートジボワール西部のもう一つの港と、その名・漢字表記を調べます。