万国漢字志

都市篇 · スペイン

万国漢字志 都市篇 第三百九十三号|サンタ・コロマ・デ・グラメネット――中国語の紙面に残るローマ字――

市の記念記事と中国語市民ガイドを読み、Colomaの音を手がかりとする三字の創案を考える。


漢字にしない、という実用

中国語の案内なら地名も漢字になるとは限りません。サンタ・コロマ・デ・グラメネット市の中国語市民ガイドでは、中国語の文章の中に Santa Coloma というローマ字が繰り返し現れます。原語の名を残すことで、窓口の表示や住所とつなぐこともできるのでしょう。市『文明市民便捷指南』

ここから考える本誌の三字案は、そのガイドに載る漢字名の紹介ではありません。対象はスペインの Santa Coloma de Gramenet、INE自治体コード08245。バルセロナ市そのものや都市圏全体、Santa Coloma と名の付く別の町を指しません。


歴史表記

市が2012年11月6日に公開した記念記事は、1187年にバルセロナ司教 Bernat de Berga が Santa Coloma の名で教会を聖別したこと、その周囲に境界が定められたことを説明します。Gramenet については、畑や森に囲まれた緑の土地との関係を述べています。市「825º aniversario…」

直接読んだのは2012年の市の記事です。1187年の聖別文書原本や全文翻刻、当時の境界記載は今回未確認です。記事中の説明を、そのまま現代自治体の境界が1187年から不変だったという証明にはしません。司教を都市名や漢字名の命名者として掲げることも控えます。

別の市の歴史案内は、11世紀の教区の暮らし、近代の橋の建設、1945年の一部地域のバルセロナへの編入を紹介しています。地域の歴史を一つの名でたどるときにも、範囲の変化に注意する必要があります。市「Un paseo por la historia」

これらは現代の公的解説であり、日本語の歴史的漢字地名の原典ではありません。本稿ではその原典を未確認として残します。


日本語での用例

平和首長会議の加盟都市リストのスペイン欄には、Santa Coloma de Gramenet と「サンタ・コロマ・デ・グラメネット」が対応して載っています。直接取得したPDFの96ページ目、日付表示は2026年11月1日です。本稿はこの日本語形を採ります。平和首長会議・加盟都市リスト

この名簿が示すのは団体による現代の日本語用例です。漢字の伝統名や、日本語での最初の用例を認定する資料にはしません。カナの長さはありますが、Gramenet まで残すことで同名の町との識別に役立ちます。


中国語圏その他の表記との比較

市民ガイドには「2022年版」とあり、本文では「Santa Coloma 市民」のように、ローマ字の地名と中国語を組み合わせています。Santa Coloma de Gramenet という全体の名も中国語の文章中に残ります。確認できたのは市自身が公開する住民向け資料での表記の実用です。市の中国語PDF、版表示と市長挨拶

今回、同資料の本文抽出は取得できましたが、ページ画像は取得できませんでした。中国語版だから必ず特定の漢字音写を採る、と補いません。また、この一資料で漢字音写が見つからないことを、中国語圏全体に漢字名が存在しないという結論にもしません。

本誌の「古呂麻」は、ここから引用した地名ではありません。Coloma のコ・ロ・マというカナの音を手がかりに新たに選ぶ三字です。現代中国語表記を省略・改字した案とはせず、区分を「創」とします。


二文字・三文字案の比較

古呂麻

古のコ、呂のロ、麻のマを組み合わせる三字の創案です。コロマというカナの手がかりは残せますが、Santa と de Gramenet が全て落ちます。通常の読みだけで都市の全名にはならず、現地の母音やアクセントを精密に示すものでもありません。日本語の全名・原綴り・スペインという所属を添えることを前提にします。

古呂

本誌の二字創案です。コロという短い音は得られてもマまで失われ、原名を探し直す手がかりが減ります。既存の都市略称として確認したものではありません。

聖古呂

Santa に対応する意味の手がかりとして「聖」を置き、Coloma の前半を組み合わせる本誌の創案です。コロマのマと Gramenet は残りません。セイ・コ・ロという日本語読みも原名とは異なり、聖人や教会の名の正確な全訳にもならないため採りません。

本誌の創案同士で字を減らしたことを、既存の漢字地名の改作と混同しません。三案とも、歴史的・現代的な同一漢字形の実例は未確認です。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

サンタ・コロマ・デ・グラメネット(Santa Coloma de Gramenet)

所属国

スペイン

暫定制定都市名

古呂麻――創

制定状態

暫定制定・原典継続調査

INE年次人口センサス表68065の2025年1月1日の通常居住者人口は123,250人。男女計、自治体コード08245の municipio 全域です。バルセロナ都市圏全体の数でも、同市の一地区の数でもありません。INE表68065

2026年11月7日保存CSVの物理16577行を使用しました。2025年値の公表日は2025年12月2日、対応PXの作成日表示は2026年4月30日です。バルセロナ県議会の自治体案内でも現代の自治体名と市のサイトとの対応を確認しましたが、同案内に掲げる別の人口値へは置き換えません。県議会の自治体案内

代表点は選定資料のGeoNames座標を継承し、現市域の境界ポリゴンの版は独立には確認していません。


採らなかった表記と未解決点

音の短さを選ぶ代わりに、採用三字は場所を識別する Gramenet を失います。「古呂麻」だけを住所や公式自治体名の代用にできるとは考えません。原語の全名を残す市民ガイドの方法には、三字案と違う実用上の強みがあります。

日本語の歴史的漢字原典、漢字形の初出・命名者、当該都市を「古呂麻」と書いた既存用例は未確認です。1187年の原文書との照合、中国語ガイドの紙面画像と版の更新履歴、他の中国語資料での漢字音写も継続調査に残します。今回の創案を、それらが確認済みであるかのようには扱いません。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第三百九十四号

第三百九十四号はアルコベンダス(Alcobendas)を取り上げます。