古い記録の Thatari と大学案内の「萨萨里」
サッサリ市の旧市街案内を開くと、サン・ニコラ大聖堂の項に Sanctu Nicola de Thatari とあります。市が引いた修道院の記録にある教会名です。いまの大学交流の案内を開くと、同じ街を指す名前が別の文字で出てきます。
歴史表記
市の案内は、サン・ピエトロ・ディ・シルキ修道院の記録に見える教会名としてこの一節を挙げています。別綴りの Thathari は、市が旧市街の発掘を報告した記事でも、中世の城壁に囲まれた街の名として現れます。市の歴史文書館には中世の自治体法規も残り、サルデーニャ語ログドーロ方言で書かれた羊皮紙写本を1316年としています。修道院記録の綴りは市の案内からの確認で、写本の該当箇所と日本語の歴史的な漢字表記は原典未確認です。
日本語での用例
工学院大学の海外協定校一覧は、イタリアの欄で「サッサリ大学」と Università degli Studi di Sassari を併記しています。大学名の中で確認できる現代日本語の用例です。
中国語圏その他の表記との比較
天津大学建築学院のダブルディグリー募集案内には「意大利萨萨里大学(University of Sassari)」とあり、同じ段落で大学の主な部分がある都市を「SASSARI市」と記しています。「萨萨里」の字形は、ここでは協定先の大学名に現れます。薛宏偉のサルデーニャ島の華人移民に関する論文では、島内の都市を列挙する箇所に「萨萨里市」とあります。
二文字・三文字案の比較
萨里
重なる萨を一つにする二字案です。出典にある繰り返しが消え、サッサリの前半を示す目印が一つ減ります。
佐佐里
佐の「サ」と里の「リ」を使う三字の比較案です。字音を続けると「ササリ」で、促音は読みを添えて示す必要があります。
薩薩里
天津大学の案内の「萨萨里」を土台に、二つの萨を薩へ調整して採る三字案です。末字の里は音写字として保ちます。日本語の「ッ」まで字面から読み取れるわけではないため、読みを添えます。
万国漢字志の暫定案
現代日本語都市名
サッサリ(Sassari)
所属国
イタリア
暫定制定都市名
薩薩里――改
制定状態
暫定制定・原典継続調査
「改」は、現代の用例「萨萨里」を土台に、萨→薩・萨→薩と採用字形を本誌が調整したことを示します。出典の引用には元の字形を残します。日本語の伝統的な漢字表記として認定するものではなく、「サッサリ」の読みを添えます。
ISTATの2024年人口収支確定表によると、2024年12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は120,510人です。2025年1月1日初に相当し、自治体コード090064のコムーネ全域を対象とします。サルデーニャ島全体や、サッサリを含む広域行政区の人口とは区別します。
採らなかった表記と未解決点
萨里と佐佐里は比較案にとどめます。修道院記録の現存写本での綴り、日本語での漢字用例、「萨萨里」の初出は引き続き調べます。
参考資料
- サッサリ市『NEL CUORE DEL CENTRO STORICO』。サン・ニコラ大聖堂の解説(抽出483行、市による修道院記録の引用)。
- サッサリ市「Largo Monache Cappuccine, gli scavi confermano l’origine di Sassari」。中世の集落と城壁に関する段落(抽出28行)。
- サッサリ市歴史文書館「Statuti」。写本の概要とサルデーニャ語写本の節(抽出13–19行)。
- サッサリ市「Statuto del Comune di Sassari」。文書名と承認欄(市議会2019年4月16日決議32号)。
- 工学院大学「海外協定校一覧」。イタリア欄(抽出172–179行)。
- 天津大学建築学院「天津大学建筑学院与意大利萨萨里大学建筑学院双学位项目」。協定先大学の紹介(抽出117行)。
- 薛宏偉「意大利撒丁岛地区华人移民状况探析」。印刷149頁、第4節(1)(抽出319–324行、都市名表記のみ参照)。
- イタリア下院「Costituzione」。第114条第3項(抽出76行)。
- ISTAT「Bilancio demografico e popolazione residente」2024年確定自治体表。P2_2024_it_Comuni.csv, line 6507, Codice comune 090064、Popolazione censita al 31 dicembre - Totale欄。
- GeoNames:Sassari。保存済み都市索引の代表点。
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。
次回予告|都市篇 第三百二十九号
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