オルティージャの島から市の名をたどる
オルティージャ島のドゥオーモ広場には、シラクーザ市の法定の庁舎であるパラッツォ・デル・セナートがあります。市の基本条例に載るこの住所から、ユネスコが英語で Syracuse と呼ぶ古代都市の中心部へと話がつながります。ユネスコの解説によると、紀元前8世紀にコリントスから来たギリシア人が、オルティージャを拠点に都市を築きました。
歴史表記
ユネスコの登録解説では、古代都市とパンタリカの岩窟墓地は別々の構成部分です。シチリア州の1985年州法第34号第1条では、オルティージャは Siracusa の一地区として扱われます。日本語でこの街を漢字で書いた歴史的用例は、原典画像を確認できていません。
日本語での用例
農林水産省の地理的表示の公示は、レモンの名称を「Limone di Siracusa(リモーネ・ディ・シラクーザ)」と掲げ、本文で「シラクーザ地域」と記します。公示が指定するレモンの生産地と、ここで人口を数える市域は別の範囲です。
中国語圏その他の表記との比較
上海市民政局サイト掲載の随筆「邂逅古琉璃」には、筆者が2009年にシチリア島を訪ねたくだりに「锡拉库萨」とあります。これは現代中国語の旅行記における用例です。市の基本条例では Siracusa、ユネスコの英語版では Syracuse と記されます。
二文字・三文字案の比較
次の案では、短縮したときにどの音や字形の手掛かりが残るかを比べます。
锡萨
両端を残す二字案です。「ラ」と「ク」の手掛かりが落ち、旅行記の表記を引きにくくなります。
锡拉萨
库を省く三字案です。語中の「ク」が消え、ラから末尾に飛ぶ形になります。
錫拉庫薩
旅行記の「锡拉库萨」の四字と順序を保ち、锡→錫・库→庫・萨→薩と字形を調整して採ります。旅行記の用例を市の公定漢字名として扱うものではありません。日本語のカナ名では「クー」と伸ばし、末尾を「ザ」と濁らせますが、字列からその読みは決まりません。
万国漢字志の暫定案
現代日本語都市名
シラクーザ(Siracusa)
所属国
イタリア
暫定制定都市名
錫拉庫薩――改
制定状態
暫定制定・原典継続調査
「改」は、現代の用例「锡拉库萨」を土台に、锡→錫・库→庫・萨→薩と採用字形を本誌が調整したことを示します。出典の引用には元の字形を残します。日本語の伝統的な漢字表記として認定するものではなく、「シラクーザ」の読みを添えます。
ISTATの2024年人口収支確定表では、2024年12月31日末(2025年1月1日初に相当)の国勢調査調整後の住民人口は115,776人です。自治体コード089017のコムーネ全域を対象とします。オルティージャ島の地区人口や、パンタリカを含む世界遺産の登録区域とは区別します。
採らなかった表記と未解決点
锡萨と锡拉萨は本誌の比較案です。四字形の日本語での歴史的使用や、中国語での初出は引き続き原資料を調べます。
参考資料
- シラクーザ市『Statuto del Comune di Siracusa』。2013年市議会議決第26号、印刷2頁第1条・第3条第4項。
- シチリア州「Legge regionale 8 agosto 1985, n. 34」。州法第34号、第I編第1条(市掲載の統合版)。
- UNESCO「Syracuse and the Rocky Necropolis of Pantalica」。英語の登録概要、古代都市と墓地の二部分。
- 農林水産省「指定の公示について(指定番号第120号)」。名称欄および生産地との結び付きの説明(抽出268・323行)。
- 上海市民政局掲載「邂逅古琉璃」。2009年のシチリア訪問を回想する段落(抽出33行)。
- イタリア下院「Costituzione」。第114条第3項。
- ISTAT「Bilancio demografico e popolazione residente」2024年確定自治体表。P2_2024_it_Comuni.csv、6757行、自治体コード089017、Popolazione censita al 31 dicembre - Totale欄。
- GeoNames:Siracusa。保存済み都市索引の代表点。
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。
次回予告|都市篇 第三百三十四号
人口選定資料で次の掲載順に当たるのはヴィチェンツァです。
