万国漢字志

都市篇 · トーゴ

万国漢字志 都市篇 第百二十六号|スルク――投票所と道路に現れる、滝と同じ名――

SouroukouはトーゴのMô 1自治体、Boulohou小郡の集落。スルクは本誌の暫定転写で現地音源未聴取。人口5,831人は2022年の所属小郡全域で村単独ではない。座標はGeoNamesの集落索引点で、同名の滝の位置や公式村中心点は示さない。

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道路の途中に、前に見た名前がある

前号タシで読んだトーゴ中央州の統計年鑑には、BoulohouからSouroukou、Tassiへと続く農村道路が載っています。この名前は、第百十九号ジャルクパンガで見た観光省の記事にもありました。そちらの主題は、同名の滝です。

今回は集落のSouroukouを取り上げ、暫定日本語名をスルク、漢字案を須留久とします。滝を村の中心に置いたり、観光地の紹介をそのまま村の来歴にしたりせず、投票所、道路、登録拠点の三つの資料を読み合わせます。

都市篇で扱いますが、自治体として独立した市と認定するものではありません。


候補をつなぐ史料

前号から引き継いだ候補は、Souroukou、Sangoul系の地名、Matchatomです。

Sangouli・SANGOUL・Sangouléは、官報、登録表、道路表へとつながります。ただし、この三綴りの位置と行政所属の対応はまだ十分に確認できていません。Matchatomも既刊カグニグバラからの道路に接続しますが、別地域のAou-Matchatomと区別して位置を確かめる課題が残ります。

Souroukouには、ブロフの学校を投票所とする1963年の記録があり、現在の登録表でもBoulohouとの所属関係を読めます。さらにタシへの道路と、既に調べた滝の資料へ接続します。人口表の順番ではなく、異なる用途の資料で一つの集落を追えることを理由に選びました。


歴史表記と、現在の集落

1963年4月30日付トーゴ官報の印刷267頁。左上のBOULOHOU、投票所15/54は、置き場をEcole officielle Boulohouとし、管轄欄にBoulohou、Foloなどと並べてSouroukouを記しています。隣には前号のTassiもあります。

これは、その綴りが当時の行政文書に現れる証拠です。集落の成立年や地名の初出年、現在と同じ区域だったことまで示す記録ではありません。日本語の歴史的漢字形でもないため、漢字表記の先例としては数えません。

現在の国家個人識別庁ANIDの中央州登録拠点表には、MÔ / MÔ 1 / BOULOHOU / SOUROUKOU / EPP SOUROUKOUという行があります。県・自治体・小郡・集落・登録施設を別々の欄に持つ表です。この行により、今回の対象をBoulohou小郡に属するSouroukou集落として定めます。

年鑑の印刷281頁、表3-48の5番道路にも、Boulohou–Souroukou–Tassiという並びがあります。1963年と現在の周辺名がつながることを照合材料としますが、昔の投票区をそのまま現在の小郡の境界に置き換えません。


滝と村を分けて読む

観光省の2024年7月2日付記事は、同年6月27日にSouroukouの滝の活用に関する実現可能性調査の検討会が開かれたことを伝えています。記事中の滝の場所は、Mô県の中心地Djarkpangaから約15キロとされています。

ここで距離が示されているのは滝です。村の中心までの距離と読み替えることはできず、測定経路も記事からは分かりません。観光省の記事だけで村の位置を決めず、集落の存在と所属にはANIDの行を用います。滝と集落が同じ名を持つことと、その二つが地図上の同じ点であることは別です。


日本語での用例と転写の範囲

今回の探索では、この集落を直接指す公的な日本語表記は確認できませんでした。スルクは本誌が索引用に置く暫定転写であり、既存日本語名の採録ではありません。

基準とする欧文は、公的資料で一致するSouroukouです。フランス語の綴りとしてSou・rou・kouと区切り、ス・ル・クへ近似させます。ケベック州フランス語局OQLFの綴り解説には、ouが[u]を表す例があります。ouを二文字だから二拍と数え、スウルウクウへ機械的に伸ばす方法は採りません。

ただし、フランス語の一般的な読み方は、現地語の地名の発音を保証しません。[u]と日本語のウ、フランス語のrと日本語のラ行も同一の音ではありません。現地音源は未取得・未聴取です。 母音の長短、声調、現地の子音の実現は未確認であり、三拍のスルクが現地の音節を正確に再現するともしません。

現地語の正書法による綴りとの照合は、なお必要です。似た綴りの人名や別地域の単語の意味を、この村の語源へ移すことも避けます。


中国語圏の形と、創案の位置づけ

この集落を直接指す中国語圏の公的漢字形、日本語の歴史的漢字形は、今回の調査では未確認です。存在しないと断言せず、地図や地名辞典の継続調査対象とします。

ここから比較する漢字形は、本誌の創の案です。各字の読みを辞典で確認することと、地名全体に先行用例があることを混同しません。


二文字・三文字案の比較

須留久

漢字ペディアにある須のス、留のル、久のクを組み合わせる三字案です。暫定転写の三拍をそれぞれ残せるため、今回はこれを採ります。留を置くことで、中央のrouを省きません。

ただし留にはリュウ、久にはキュウの読みもあります。漢字だけで読みが一意に決まるわけではないので、須留久にはスルクと読みを添えます。字義から村の性格や歴史を説明する案ではありません。

寿留久

寿にもスの音があり、同じ三拍を残せます。音の対応だけで須留久より劣るとはいえません。ただし辞典では寿のスは表外音として示され、須のスはその表示を伴いません。今回の索引では冒頭の読みを説明しやすい須を優先します。寿の字を避ける理由を、住民の寿命や村の歴史に結び付けるものではありません。

須久

二字に収まりますが、通常の字音を組み合わせるとスクとなり、ルが落ちます。須にスルという指定読みを負わせれば見た目は短くできても、中央の音の手掛かりが字面から消えます。二字・三字という標準は、音を落としてまで二字にする規則ではありません。今回は三字で残せる須留久を選びます。


人口は小郡全域、座標は索引点

INSEED『中央州統計年鑑2022–2023』印刷53頁、表2-5は、Boulohou小郡の人口を男性2,932人、女性2,899人、計5,831人としています。2022年の国勢調査に基づく値です。

これはSouroukouを含む所属小郡全域の人口であり、村単独の人口ではありません。地図一覧の人口には、この範囲を明記して用います。Souroukouだけの人数は今回確定できておらず、小郡の数字を村の規模として比較することはできません。

GeoNamesのトーゴ地名データには、Souroukou、識別子2364061、種別PPLがあり、北緯8.75度・東経0.66667度を記しています。近接するBoulohouの地名点と、公式資料の綴り・周辺名を照合し、集落を探す暫定索引点に使います。同データの更新日は1993年12月23日で、現況の測量日ではありません。

公式の村中心点や村境界との一致は未照合です。この点を同名の滝の座標として使うこともせず、小数点以下の桁数を位置精度の証明ともしません。人口欄の0は未収録値として扱い、無人とは読みません。

トーゴの首都は外務省基礎データが示すロメです。Souroukouを首都とは扱いません。


万国漢字志の暫定案

暫定日本語都市名
スルク

原綴り・所属国
Souroukou/トーゴ

暫定制定都市名
須留久(スルク)――創

制定状態
暫定制定・原典継続調査

これは既存の日本語漢字形の復元ではなく、綴りから置いた暫定転写への選字です。一字略称は設けず、現地音や信頼できる日本語用例が得られれば、カタカナ形と漢字形を合わせて見直します。


採らなかった表記と未解決点

寿留久は同音の比較案として残し、須久はルを落とすため採りませんでした。須留久を現地音への最良の転写として実証したのではなく、説明できる字音で暫定索引名を保持する判断です。

継続するのは、現地語の綴りと語源、音源、村単独の人口、村の境界、村と滝の位置関係です。1963年の投票区から現在の小郡までの境界変遷も、なお確認が必要です。観光計画の担当者や登録施設の名から、地名の命名者を推定することはしません。


参考資料

(2026年10月19日調査。現地音源未聴取。)


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。

都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。


次回予告|都市篇 第百二十七号

道路に現れるSangoul系・Matchatomと、登録表のAgbama-Somouを比較します。既刊へつながる史料を回収し、異綴りの対応と集落の位置を確かめて、次の一集落を選びます。