万国漢字志

都市篇 · ドイツ

万国漢字志 都市篇 第二百十一号|シュトゥットガルト――長いカタカナと「斯圖加特」の四字――

領事案内のシュトゥットガルト、大垣市のシュツットガルト、中国語の斯图加特。読みの揺れと字形の調整を分け、四字を削らず残す暫定案を選ぶ。

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小さな「ゥ」がある案内、ない案内

在ミュンヘン日本国総領事館の出張サービス案内に、シュトゥットガルトとあります。会場の住所にはStuttgart。カタカナと現地の綴りを、同じ案内の中で照合できます。

大垣市の公式サイトでは、分類の見出しが**シュツットガルト市(ドイツ)**となっています。小さな「ゥ」を使うかどうか、最初の部分の写し方が違います。日本語の中でも、一つの町を表す文字列は一通りではありません。

中国語の公的な報告で出会うのは、斯图加特という四字です。これを本誌の二字・三字の標準へ収めようとすると、どこかを削ることになります。短い形が便利かどうかと、資料にある形を残せるかどうか。今回はその二つを比べます。


歴史表記

シュトゥットガルトの日本語の歴史的な漢字表記は、現時点では原典未確認です。 漢字と読みを併記した古い地理書や紀行の原頁、漢字表記の初出、選字者は引き続き調査します。

冒頭の二つのカタカナは、今回確認した公的ウェブサイトの用例です。シュツットガルトの方が古い、シュトゥットガルトが後から作られた、といった成立順序をこれだけで決めることはできません。

また、本稿の漢字案を、古い日本語刊本からの翻刻として提示することもしません。現代の用例を確かめる作業と、歴史原典の文字を読む作業は分けておきます。


日本語での用例

在ミュンヘン日本国総領事館の「領事出張サービスの実施について(フライブルクおよびシュトゥットガルト)」は、2026年10月6日付の案内です。会場を在シュトゥットガルト日本国名誉領事事務所とし、所在地を70173 Stuttgartを含む住所で示しています。

大垣市公式サイトの「シュツットガルト市(ドイツ)」の分類ページでは、小さな「ゥ」を使わない形を確認できます。引用する際には、この見出しの形をそのまま残します。

本誌の現代日本語都市名はシュトゥットガルトとします。カタカナの違いを別都市の名と数えたり、資料にない漢字読みを補ったりはしません。


中国語圏その他の表記との比較

在フランクフルト中国総領事館の「驻法兰克福总领馆与南京市人民政府联合举办斯图加特中国春节招待会」では、題名と本文に斯图加特が出てきます。本文に表示された日付は2026年3月2日で、市政府にも言及しています。

ここで確認できたのは、現在の中国語の斯图加特です。本誌案は、その四字を保って图を圖に調整した斯圖加特。この置換を本誌の判断として明示し、参照したページの文字そのものと混同しません。

図という日本の字体へ調整する選択肢もありますが、今回は圖を使います。字形をどう整えるかという本誌の選択であり、斯圖加特が日本語で伝統的に使われてきたとの認定ではありません。台湾などでの公的な用字の比較も、今回の確認範囲には含めていません。

中国語の四字と、日本語のカタカナの長さを一対一にそろえる必要はないと考えます。中国語の音訳が、日本語でも同じ音の組立てになるとは限らないためです。


二文字・三文字案の比較

斯特

四字の最初と最後を取る、本誌の二字比較案です。短くはなりますが、間の图加を落とします。元の都市名との照合の手がかりが減り、二字だけでシュトゥットガルトと読めるようにもなりません。

今回、都市名の既存用例として確かめた形ではありません。

斯加特

图だけを省く、本誌の三字比較案です。二字案より元の並びを多く残しますが、なぜその一字を除くのかという別の説明が必要になります。日本語で「シ・カ・トク」などと読んでも、シュトゥットガルトの全体は再現できません。

これも歴史的な略記を見つけたのではなく、短縮した場合を考えるために組んだ案です。

斯圖加特

参照した中国語用例の四字を保ち、图の字形だけを調整する案です。元の斯图加特と一字ずつ対応し、資料をたどりやすい利点があります。

都市篇の標準より一字長くなります。しかし、短縮を支える用例を確認できていない以上、字数のために元の形を削る利点は小さいと考えます。四字を例外として残し、シュトゥットガルトの読みを添えます。 斯・圖・加・特の日本語の通常の読みだけでは、このカタカナには届きません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

シュトゥットガルト

所属国

ドイツ

確認した現代中国語表記

斯图加特

暫定制定都市名

斯圖加特――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

中国語の斯图加特をもとに、本誌が图を圖へ調整するため「改」とします。四字の長さも、原形の並びを残すための暫定的な例外です。

人口はドイツ連邦統計局(Destatis)の自治体一覧年次版による、2025年12月31日現在609,365人です。人口と自治体境界の基準日はいずれも同日、2026年8月版を用います。2022年国勢調査を基礎とする公式人口更新統計で、対象はStuttgart, Landeshauptstadtの自治体全体です。広いシュトゥットガルト地域や都市圏、州全体の人口とは区別します。住民登録簿の別集計を代用していません。


採らなかった表記と未解決点

斯特と斯加特は、本誌の短縮比較案です。用例の裏付けを得た略記としては扱いません。図を使う字体調整案も含め、今回選ばなかった形が将来の調査対象から消えるわけではありません。

確認を続けるのは、日本語の歴史原典における漢字と読み、最初の使用例、選字者です。現代の中国語用例があることから、同じ漢字が日本でも同じ時期に使われたと推定することはできません。

日本語でも二通りのカタカナが現れる町です。漢字も長さだけを整えようとせず、確かめられた四字と本誌の字形調整を分けて示すことにします。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第二百十二号

次回はドルトムント。中国語の公的報告にある多特蒙德の四字を、そのまま残す案と短縮案で比べます。