万国漢字志

都市篇 · イタリア

万国漢字志 都市篇 第三百十三号|ターラント――二つの海を結ぶ運河と「塔蘭托」――

二つの海を結ぶ運河と「塔蘭托」。現代中国語の用例をたどり、漢字表記と読みを検討します。


二つの海を結ぶ運河と「塔蘭托」

ターラント市が紹介する船員記念像では、二人の船員が航行する船に手を振っています。像のそばを通る船は、マル・グランデとマル・ピッコロを結ぶ運河を行き来します。漢字でこの港を探すと、蘭の字が入った三字の地名に行き当たります。


歴史表記

日本語の歴史的な漢字表記は原典画像未確認です。本稿で扱う現代の中国語用例がいつから使われていたかは、継続調査とします。


日本語での用例

野中夏実は西洋古代地名のカナ表記を論じた文章で、現代の都市名を Taranto「ターラント」と記し、古代の名を別に扱っています。


中国語圏その他の表記との比較

台湾の国立屏東女子高級中学の数学科教材は、ピタゴラスの略伝で南イタリアの現在地を「塔蘭托」と記しています。中国商務部系サイト掲載のプーリア州紹介では、港の名に簡体字で「塔兰托港」とあります。この二つの例では、繁体字の蘭と簡体字の兰が対応しています。


二文字・三文字案の比較

塔托

両端の字を残す二字案です。蘭を落とすと、ターラントの中ほどの「ラン」に対応する手掛かりがなくなります。

塔蘭都

末尾の「ト」を日本語の字音で拾いやすくした三字案です。ただし、出典の「托」が「都」に替わり、字面には都という意味も加わります。

塔蘭托

台湾の教材に見える三字を保つ案です。蘭は「ラン」の手掛かりになりますが、冒頭の長音は示せず、托の日本語の字音からは末尾の「ト」を取りにくいので、カナを添えます。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

ターラント(Taranto)

所属国

イタリア

暫定制定都市名

塔蘭托――既

制定状態

暫定制定・原典継続調査

「既」は確認できた現代の用例を採ったことを示す本誌の分類です。本誌では「ターラント」と読みを添えます。

ISTATの2024年人口収支確定表による住民人口は186,011人です。2024年12月31日末の国勢調査調整後の値で、2025年1月1日初に相当します。対象は自治体コード073027のコムーネ全域です。県や都市圏の人口とは区別します。


採らなかった表記と未解決点

港を説明する資料では「港」や「湾」が付きます。ここでは港湾施設や湾全体と区別して、市を指すときに三字を使います。

比較欄の短縮案・異字案は本誌の案です。日本語の旧刊本に同じ字形が見つかった場合は、掲載箇所の画像と前後の文脈を照合して、どの都市を指すかを確かめます。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。


次回予告|都市篇 第三百十四号

人口台帳の次の掲載順はモデナです。