万国漢字志

都市篇 · ニュージーランド

万国漢字志 都市篇 第百五十四号|タウランガ――「陶朗加」の三字をたどる――

政府観光局と中国大使館の用例からタウランガと陶朗加の対応を確かめ、三字の現用形を暫定採用する。人口は2025年の都市域160,900人で、地方全域や通勤圏と区別する。

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港のある町の、三字の見出し

政府観光局の日本語版は、タウランガを海が身近な街として案内しています。中国語版の見出しは陶朗加。両版にストランドの水辺や海港の話が現れ、同じ町の紹介を読んでいることが分かります。

もう一つ、旅の案内とは違う資料があります。中国の在ニュージーランド大使館が2018年に出した領事サービスの通知です。見出しには**陶朗加市(Tauranga)**とあり、漢字と欧文が一緒に載っています。

今回はこの三字を採ります。字の意味から町の由来を説明する前に、異なる用途の資料で、同じ名がどう使われているかを確かめてみます。


歴史表記

日本語の歴史的漢字表記は、現時点では原典未確認です。 大使館の2018年の通知は、年の分かる中国語での使用例です。その年に陶朗加が作られた、あるいは日本語でも古くから使われていた、という証拠ではありません。

漢字名の初出、選字者、日本語の古い地理資料での形は要継続調査です。今回の制定区分は、歴史形を意味する史ではなく、確認した既存用例を意味する既とします。


日本語での用例

日本語名は政府観光局の見出しにあるタウランガを使います。同ページは北島のベイ・オブ・プレンティに置き、中国語版も北岛、丰盛湾の順で案内しています。欧文名との直接の対応は、大使館通知のTauranga併記と、Stats NZの都市域名でも確認できます。

ここで示す読みは、日本語の都市名としての文字用例です。陶・朗・加を日本語で順に音読すればタウランガになるという説明ではありません。今回、発音の音声確認はしていません。


中国語圏その他の表記との比較

政府観光局中国語版と大使館通知は、ともに陶朗加を使います。通知には別の市としてロトルアも併記されていますが、その漢字をこちらの町の別名として取り込むことはしません。

陶、朗、加には、それぞれ普通の漢字としての意味があります。しかし、その意味をつなぎ合わせて都市の名の由来にする根拠は、今回の資料にはありません。発音を写すための選字と考えられる形でも、誰がどう選んだかは別に調べる必要があります。

他地域の中国語用例や、日本語の当て字としての定着は今回未確認です。確認できた発信元と文字列の範囲を保ちます。


二文字・三文字案の比較

陶加

中間の朗を省く二字案です。本誌が比較のために作る短縮で、今回の資料にある町の名ではありません。短くはなりますが、確認できた三字との対応が一段遠くなります。

陶朗

末尾の加を落とす二字案です。これも既存略称として確認したものではありません。原資料を見た読者が、そのまま同じ文字列を探せる利点を失います。

陶朗加

二つの公式発信元で確かめた三字です。都市篇の二字・三字標準に収まり、字を補ったり省いたりする必要もありません。今回はこの形を暫定採用します。


地方の名と都市域の人口

人口にはStats NZのUrban RuralのTauranga、コード1239を使います。160,900人、2025年6月30日の推計居住人口です。2023年の都市・農村区分に対応する都市域を対象にしています。

ベイ・オブ・プレンティ地方全体の人口ではありません。同名の自治体の境界と一致すると仮定せず、農村集落を含む行政区域やFunctional Urban Areaの通勤圏とも区別します。観光ページに載る周辺の行き先を、一緒に人口へ足すこともしません。

位置の目安はGeoNamesの代表点、南緯37.68611度・東経176.16667度です。索引の人口は今回の値の根拠に使わず、点の位置から都市域の境界を推定してもいません。国都は外務省の資料にあるウェリントン市で、タウランガは国都ではありません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名
タウランガ

所属国
ニュージーランド

暫定制定都市名
陶朗加――既

制定状態
暫定制定・原典継続調査

今回の採用は、観光案内と領事通知にある三字を保持するものです。漢字名を本誌が新たに作った、あるいは古い日本語形を復活させた、とするものではありません。


採らなかった表記と未解決点

陶加・陶朗は、本誌の比較用の短縮案として残します。どちらも今回確認した現用名ではなく、日本語の歴史形も未確認です。

2018年という日付を持つ用例があると、調査の足場が一つできます。ただ、その日付は名前の誕生日ではありません。初出と命名事情を調べる余地を残しながら、いま資料で照合できる三字を暫定名とします。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。

都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。


次回予告|都市篇 第百五十五号

次は人口台帳の掲載順に従い、ウェリントンを調べます。