万国漢字志

都市篇 · スペイン

万国漢字志 都市篇 第三百五十九号|テラサ――「特拉萨」から「特拉薩」へ――

Terrassaの行政範囲と現代用例を確かめ、漢字案を比較する。


都市の名をたどる

Terrassaという一つの自治体を、日本語ではテラサと呼びます。場所を示す綴りと漢字の用例を確かめたうえで、日本語の文章で使う案を考えます。


歴史表記

テラサ市の歴史解説は、現在の Sant Pere 付近にローマ時代の municipium flavium Egara があったと述べ、碑文の存在に触れています。市の別の解説は城の名 Terrassa の844年の記録にも言及します。これらは市による現代の説明であり、碑文や844年の文書の原本は今回実見していません。古代の行政範囲を現在の市域と同一視しません。 日本語の歴史的漢字表記は原典未確認です。確認できていない字形を歴史表記として補いません。


日本語での用例

ブリヂストンの2018年データは、スペインの工場所在地を「テラサ」および Terrassa と記しています。本誌もこの読みを使います。


中国語圏その他の表記との比較

無錫市政府の2026年の行事案内には「电影之都西班牙特拉萨」とあります。ユネスコ国際創意・持続可能発展センターが編訳した創造都市ネットワークの手引きは、映画分野の一覧の同じ行に「特拉萨」「Terrassa」「西班牙」「2017」を載せています。原文の字形は「特拉萨」です。これは現代の用例であり、日本語に昔から定着した表記を証明するものではありません。


二文字・三文字案の比較

特拉薩は簡体字「特拉萨」の末字に対応する「薩」を用いた三字です。現代の繁体字記事にも同じ都市の「特拉薩(Terrassa)」があるため、既存表記として「既」とします。日本語での歴史的定着を意味するものではありません。寺羅はテラに音を寄せた二字案ですが、サが表れません。手羅佐はテ・ラ・サを意識した三字の創案で、原表記との連続性はありません。特拉薩も普通の音読みからテラサとは読めないため、カナを添えます。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

テラサ(Terrassa)

所属国

スペイン

暫定制定都市名

特拉薩――既

制定状態

暫定制定・原典継続調査

INE年次センサス表68065の2025年1月1日時点の通常居住者人口は232,676人です。自治体コード08279、Terrassaの municipio 全域を対象とし、地区や都市圏を別途加算しません。代表点の座標は自治体境界を示すものではありません。


採らなかった表記と未解決点

比較用の短縮案・創案は本誌の検討であり、史料にある名称と主張しません。漢字表記の初出、命名者、日本語の歴史的用例は未確認です。歴史資料の原本の確認も継続します。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づきます。都市一覧は公式サイトで公開します。


次回予告|都市篇

次号は都市篇 第三百六十号 バダロナを取り上げます。