万国漢字志

都市篇 · トーゴ

万国漢字志 都市篇 第百十号|トフン――本が届く町と、人口を数える範囲

トーゴのTohounを読書センター網と2022年都市人口8,536人から紹介。トフンは綴りに基づく本誌の暫定転写で、現地音源は未確認。都芬を創案として暫定選定する。

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読書の網を、もう一つの町へ

前号のダニ・アペイェメを調べた政府資料には、ほかにも読書・文化活動センターCLACの所在地が並んでいました。今回はその一つ、Tohounを取り上げます。本誌では綴りをもとにトフンと暫定転写します。現地話者の発音を採録した読みではありません。

未収録の候補にはAmou-ObloとDéfaléもあります。いずれも前号と同じ2024年の施設網につながります。Amou-Obloは既刊アムラメと行政資料でも比較できる一方、回収した都市人口表には独立した行を確認できませんでした。Défaléもこの表に個別行がありません。施設所在地と都市の集計を一緒に追えるTohounを今回は優先します。人口の大きさや表の掲載順だけで選んだわけではありません。

前号で回収した統計資料と文化行政の資料を使い直すと、同じ町の名前が、住民を数える表と本を届ける記録に現れます。それぞれが扱う範囲を分けて読むことが今回の出発点です。


都市人口は8,536人

INSEED『ANNUAIRE STATISTIQUE NATIONAL 2022』表3.21の印刷33頁(PDF51頁)で、Tohounの行を原頁画像と文字抽出の両方で確認しました。男性3,958人、女性4,578人、合計8,536人です。内訳の和は合計に一致します。表末尾の出典は次頁にあり、INSEED、RGPH 5、2022年人口空間分布資料を挙げます。

これは表が都市として集計した居住人口であり、県全体やコミューン全体の人口ではありません。同書の行政表2.2はTohounをMoyen-Mono 1の中心地として記します。中心地の名が行政区画の一覧にあることと、その行政区画の住民全員を都市人口として数えることは別です。集計境界の細かな対応は未確定とします。

トーゴ地方行政省の2020年7月25日記事も、TohounをMoyen-Mono県の中心地として記しています。県中心地であることを国の首都と混同しません。日本国外務省の基礎データが挙げる首都はロメです。


地名記録の点と、文化施設の所在地

GeoNamesの公式RDF、識別番号2363669を今回取得し、主名称Tohoun、国コードTG、居住地分類P.PPLを確認しました。代表点は北緯7.03333度・東経1.61667度です。町の境界を示す座標ではありません。

同記録には人口6,767人もありますが、対象年が記載されていません。文書の更新日を人口年次に置き換えず、記事の人口には年次の明らかなINSEEDの値を用います。二つの数値の差を人口増加とは説明しません。別名として登録されたTchouri、Tohou、Tonoun、Tunについても、年代や使用言語が付いていないため、歴史的改称の順序は組み立てません。

文化行政の2024年2月27日記事は、TohounをDanyi-Apéyéméとともに新しい8拠点に挙げています。前号とのつながりは、名前が同じ資料に載るという直接の記録です。ここから個別施設の蔵書数や町全体の識字率までは分かりません。

2021年の拡張予定と2024年の拠点一覧も区別します。予定地として名前が載っただけで開館したと決めず、後の記録で何が確認できるかを追います。今回は町ごとの開館日までは確定していません。


日本語での用例と、暫定転写

日本語の公的地図・辞書による定着形は現時点では原典未確認です。トフンは本誌がTohounの綴りへ添える読みであり、既存の標準日本語名だとはしません。

読みの目印はToをト、hをハ行の子音、ouをウ、末尾nをンとして残すことです。ケベック州フランス語局の母音資料はroueとcoûtのouを[u]として示します。この一般的対応をウの参考にします。ただし当該地名の実際の母音を証明する資料ではありません。

hを残してフとすることと、末尾nをンとすることは、文字の目印を保つための本誌の編集判断です。 フランス語一般の規則だけで町名全体の発音を確定したわけではありません。外来地名に含まれるhを、フランス語だからという理由で自動的に無音とも決めません。日本語のフも現地の子音を厳密に再現する表記ではありません。

末尾が独立した鼻音なのか母音の鼻音化なのか、hの実現、母音の開閉、声調、長さは未確認です。長音符も補いません。町名全体の現地音源は今回取得・聴取しておらず、言語資料の一般的対応と音源による確認を分けて残します。


歴史表記と中国語圏の表記

日本語の歴史的漢字表記と、中国大陸・台湾の公的地名資料による漢字形は現時点では原典未確認です。GeoNamesの別名に漢字がないことだけで、漢字形が存在しないとは判断しません。語源・命名者・命名年も未確定です。

したがって以下は史料から復元した形でも、中国語の既存表記でもありません。本誌の暫定転写へ漢字を添える創の候補です。先例を確認できないことは、その区別を明記した新案の比較まで止める理由にはなりません。


二文字・三文字案の比較

都芬

第一案です。都でト、芬でフンの目印を置きます。都はト、芬はフンという日本語の字音を利用でき、二字全体の指定読みをトフンとします。ンを含む芬を用いるため、二字にするために末尾を省いた案ではありません。

都の字義から当地を国の首都と説明したり、芬の字義から香りのある産物を想像したりはしません。今回の根拠は音の目印です。

斗芬

第二案です。トとフンの組合せを同じく残せます。ただし斗にはト以外にトウという読みもあり、斗を選ぶ方が読みを説明しやすいとは判断しません。都芬と競合する新案として残します。

都布恩

三字案です。ト/フ/ンを都・布・恩に分けます。ただし恩の通常の音読みはオンであり、ンだけを割り当てるには特別な説明が必要です。文字数を増やせば音が正確になるわけではなく、フンを一字で追える芬の方が今回の近似には適します。

二字の都布はンの目印を失うため採りません。三案とも地名の直接先例を確認したものではなく、暫定的な読み全体を追いやすいという理由から都芬を選びます。音源で読みが変われば、選字も見直します。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名(本誌の暫定転写)
トフン

原綴り・所属国
Tohoun/トーゴ

暫定制定都市名


都芬

読み
トフン

制定区分
都芬――創

制定状態
暫定制定・原典継続調査

二字は文字数を先に強制した結果ではなく、トとフンの目印を保てる候補として採ります。一字略称は制定しません。


採らなかった表記と未解決点

斗芬は残案、都布恩は恩に余分な母音を誘いやすいため不採用、都布は末尾の目印を省くため不採用です。読みの定着、日本語の歴史的漢字形、中国語圏の公的表記、現地音源、語源・命名者は継続調査です。

人口を数えた町、行政の中心地、本が届く所在地。それぞれの資料にTohounがあります。確認できた地名に新しく漢字を添えることと、昔からその漢字で呼ばれたと説明することを分けたまま、今回の案を置きます。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。

都市一覧は万国漢字志 公式サイトで公開します。


次回予告|都市篇 第百十一号

トーゴの未収録都市から、既刊とのつながりと回収できる一次資料を比較し、地名全体の確認と読みの根拠をそろえて次の対象を選びます。