万国漢字志

都市篇 · イタリア

万国漢字志 都市篇 第二百九十八号|トリノ――冬季大会の街を「都靈」と記す――

トリノの現代公的用例から都靈を採り、別表記と日本語で読む際の限界を示す。


冬季大会の都市名と、漢字で書かれた都市名

日本オリンピック委員会の2006年冬季大会の会場案内では、ピエモンテ州の州都をトリノと呼んでいます。台湾の道路技術誌では、トンネル火災の救援体制を説明する箇所に都靈とあり、現地名のTorinoが添えられています。


歴史表記

トリノ市の広報は、この街を統一イタリア最初の首都と説明し、1864年9月の首都移転をめぐる事件を振り返っています。これは市が後年にまとめた説明です。現在の首都は、イタリア憲法第114条が明記するローマです。

日本語での歴史的な漢字表記は原典画像未確認です。確認した現代用例から、過去の字形や初出をさかのぼって認定することはできません。


日本語での用例

会場案内は州都をトリノと記し、山間部の競技会場も地図に載せています。大会の会場が市外にも広がることと、統計でトリノ市の住民だけを数えることは区別します。


中国語圏その他の表記との比較

台湾の公路当局が公開する『臺灣公路工程』第32巻第8期(2006年2月)では、イタリア側の救援組織を扱う節に「都靈(Torino)市」とあります。原文が現地名を併記しているため、消防の資機材について言及された自治体を照合できます。この記事から確認できるのは、道路技術誌における現代の中国語表記です。


二文字・三文字案の比較

都野

本誌の二字の比較案です。都をト、野をノと読ませても、語中のリが抜けます。

都利野

本誌の比較用の創案です。都をト、利をリ、野をノと読めば三拍に対応しますが、利の音読みと野の訓読みを組み合わせます。

都靈

都靈には道路技術誌の用例があり、二字の形を保てます。都にトの音があっても、靈の通常の日本語音からリノは導けません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

トリノ(Torino)

所属国

イタリア

暫定制定都市名

都靈――既

制定状態

暫定制定・原典継続調査

現代の公的用例の字形を採り、本誌では日本語の読み「トリノ」を添えます。「既」は既存用例に基づく本誌の分類です。

ISTATの2024年人口収支の確定表では、2024年12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は853,196人です。2025年1月1日初に相当する値で、自治体コード001272のコムーネ全域を数えます。大都市自治体Città metropolitana di Torinoやピエモンテ州の合計とは区別します。


採らなかった表記と未解決点

都野はリを表せず、都利野は三拍に対応するものの本誌の創案です。現地名を併記した公的刊行物の用例を優先し、都靈を採ります。 古い日本語資料の用字を採用するには、掲載箇所の画像と、文脈が同じ都市を指すことの確認が必要です。漢字形の初出と命名者は未確定です。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第二百九十九号

人口台帳で次の掲載順に当たるのはパレルモです。