冬季大会の都市名と、漢字で書かれた都市名
日本オリンピック委員会の2006年冬季大会の会場案内では、ピエモンテ州の州都をトリノと呼んでいます。台湾の道路技術誌では、トンネル火災の救援体制を説明する箇所に都靈とあり、現地名のTorinoが添えられています。
歴史表記
トリノ市の広報は、この街を統一イタリア最初の首都と説明し、1864年9月の首都移転をめぐる事件を振り返っています。これは市が後年にまとめた説明です。現在の首都は、イタリア憲法第114条が明記するローマです。
日本語での歴史的な漢字表記は原典画像未確認です。確認した現代用例から、過去の字形や初出をさかのぼって認定することはできません。
日本語での用例
会場案内は州都をトリノと記し、山間部の競技会場も地図に載せています。大会の会場が市外にも広がることと、統計でトリノ市の住民だけを数えることは区別します。
中国語圏その他の表記との比較
台湾の公路当局が公開する『臺灣公路工程』第32巻第8期(2006年2月)では、イタリア側の救援組織を扱う節に「都靈(Torino)市」とあります。原文が現地名を併記しているため、消防の資機材について言及された自治体を照合できます。この記事から確認できるのは、道路技術誌における現代の中国語表記です。
二文字・三文字案の比較
都野
本誌の二字の比較案です。都をト、野をノと読ませても、語中のリが抜けます。
都利野
本誌の比較用の創案です。都をト、利をリ、野をノと読めば三拍に対応しますが、利の音読みと野の訓読みを組み合わせます。
都靈
都靈には道路技術誌の用例があり、二字の形を保てます。都にトの音があっても、靈の通常の日本語音からリノは導けません。
万国漢字志の暫定案
現代日本語都市名
トリノ(Torino)
所属国
イタリア
暫定制定都市名
都靈――既
制定状態
暫定制定・原典継続調査
現代の公的用例の字形を採り、本誌では日本語の読み「トリノ」を添えます。「既」は既存用例に基づく本誌の分類です。
ISTATの2024年人口収支の確定表では、2024年12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は853,196人です。2025年1月1日初に相当する値で、自治体コード001272のコムーネ全域を数えます。大都市自治体Città metropolitana di Torinoやピエモンテ州の合計とは区別します。
採らなかった表記と未解決点
都野はリを表せず、都利野は三拍に対応するものの本誌の創案です。現地名を併記した公的刊行物の用例を優先し、都靈を採ります。 古い日本語資料の用字を採用するには、掲載箇所の画像と、文脈が同じ都市を指すことの確認が必要です。漢字形の初出と命名者は未確定です。
参考資料
- トリノ市広報。本文の1864年9月を振り返る段落(抽出18行)。
- 日本オリンピック委員会「会場マップ」。「競技会場」冒頭(抽出109–110行)。
- 『臺灣公路工程』第32巻第8期。2006年2月、節2.3.2.5「義大利救災組織的資產」、PDF先頭から9枚目、印刷10頁(抽出375行)。
- イタリア憲法第114条、イタリア上院。現在の首都を確認。
- ISTAT『Bilancio demografico e popolazione residente』2024年確定自治体表。P2_2024_it_Comuni.csv, line 7122, Codice comune 001272。年末の総人口欄を参照。
- GeoNames:Torino。保存済み都市索引の代表点を使用。
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。
次回予告|都市篇 第二百九十九号
人口台帳で次の掲載順に当たるのはパレルモです。
