万国漢字志

都市篇 · フランス

万国漢字志 都市篇 第百六十五号|トゥールーズ――圖盧茲と二つの長音――

トゥールーズの現代日本語名と公式中国語用例を照合し、圖盧茲を既として暫定採用。人口は2023年基準・2025年境界・2026年発効の自治体PMUN514,819人。歴史的日本語漢字形の原典は継続調査。

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トゥールーズと、三字の圖盧茲

領事出張サービスの案内で読むトゥールーズと、中国語の教育記事で読む圖盧茲。片仮名では長音が二つ入る名前が、漢字では三字になります。字数の違いより先に確かめたいのは、その文字列が本当に同じ都市を指すのかということです。

台湾の駐フランス代表処教育組の本文には、圖盧茲(Toulouse)と欧文を添えた用例がありました。中国外交部の訪問記録には图卢兹市が出てきます。本稿はこの実在する用例を比較し、圖盧茲を既存表記として暫定採用します。


歴史表記

日本語の歴史的漢字表記は、現時点では原典未確認です。 今回、国立国会図書館の資料案内や検索を調べましたが、当時の日本語刊本・地図の該当紙面で、漢字形と読みを対読するところまでは到達していません。

図書館の「フランスの地図」には、Toulouse : agglomerationという地図帳が紹介されています。これは所蔵資料を探す手がかりです。ただし案内自身が地図の表記をフランス語と説明しており、その書名から日本語の漢字形を推定することはできません。今回、地図帳の現物は見ていません。

現在の中国語の漢字名が見つかったことと、日本語で歴史的に同じ字が使われたことは別です。圖盧茲の初出や選字者も未確認のまま残します。未確認を「昔は漢字表記がなかった」という結論にはしません。


日本語での用例

在マルセイユ日本国総領事館の領事出張サービスの案内は、本文でトゥールーズ市を対象都市に挙げています。2026年7月16日付の公式用例です。本稿の現代日本語名も、このトゥールーズとします。

片仮名で書けば、最初のトゥーにも、後半のルーにも長音があります。一方、漢字三字を日本語の通常の音訓で読んでも、そのままトゥールーズにはなりません。本稿で圖盧茲に添える読みは、都市名との対応を示す読みであって、三字それぞれに通常の日本語音訓があると主張するものではありません。

この区別を置いておくと、漢字名を覚えることと、現地の発音を身につけることを混同せずに済みます。今回はフランス語の現地話者による音声を聴取していません。


中国語圏その他の表記との比較

中国外交部の2025年6月の訪問記録は、本文で图卢兹市の副市長との面会を報告しています。同じ記事は都市を航空宇宙・大学・研究の拠点として紹介しています。ここで確認したのは、外交機関が実際にこの都市名を使っていることです。産業の順位や漢字名の起源を認定する資料とはしません。

台湾の駐フランス代表処教育組が公表する性別研究についての記事では、本文中に**圖盧茲(Toulouse)**とあります。資料提供時間は2023年7月です。別の高等教育の記事にも、同じ漢字と欧文の組合せを確認できます。

图卢兹と圖盧茲は、今回の資料では同じ都市に対応する簡体字・繁体字の形です。片方の形を機械的に変換しただけで実在用例があると扱わず、双方の公式本文を別々に読みました。圖の字義から都市計画を、盧や茲から土地の性格を説明するような選字物語は付けません。


二文字・三文字案の比較

圖盧茲

台湾側の公式本文に欧文と並んで現れる三字形です。制定区分は既。日本語として一字ずつ音を再構成するより、確認できる用字を保持する案です。本誌の新造ではありません。

図盧茲

先頭だけを日本で通用する字体の図へ置き換える三字の調整案です。読みやすい字体に近づける利点は考えられますが、今回はこの形そのものの実用例を確認していません。採るなら本誌による変更と説明する必要があり、確認済みの圖盧茲に代えて採用する理由は不足しています。

都留豆

都のト、留のル、豆のズという読みを借りる本誌の三字比較案です。しかし、そのまま並べればトルズであり、二つの長音と語頭のトゥを表せません。漢字に読みを特別指定すれば書けるとしても、それは通常の音訓だけで読めることとは違います。

二字へ縮めるために盧などを落とす案は立てません。三字で使われている名前を、見た目の短さのためだけに二字化すると、既存用例との対応まで弱くなるからです。


514,819人を数える範囲

人口はInseeの自治体コード31555の表で確認した514,819人。population municipale、すなわち自治体の市域人口です。別計上人口5,121人や、それを加えたpopulation totaleの519,940人を採用値へ混ぜません。

人口基準日は2023年1月1日、自治体境界は2025年1月1日、発効は2026年1月1日です。発効年を人口調査の基準年に読み替えないよう、三つの日付を分けて示します。

対象はToulouseというcommune全体です。Toulouse Métropoleのような広域の行政組織、近郊へ連続する市街地、都市圏とは区別します。市内の地区を別都市として足したり、周辺自治体をこの人口へ加えたりもしません。地図帳の書名にあるagglomerationも、今回の市域人口の範囲を定めるものではありません。

所属国はフランスです。日本国外務省のフランス基礎データが国家首都をパリとすることを確認し、トゥールーズは国家首都に区分しません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名
トゥールーズ

所属国
フランス

暫定制定都市名
圖盧茲――既

制定状態
暫定制定・原典継続調査

公式本文で欧文との対応を確認できる三字を採ります。日本語の公定表記を変更するものではなく、本誌で用いる漢字都市名の暫定選定です。


採らなかった表記と未解決点

図盧茲は本誌が字体を変更する案、都留豆は日本語の音訓から近づける案として比較しました。どちらも歴史的な日本語用例として掲載したものではありません。今回の採用形は圖盧茲とし、簡体字の图卢兹も現用例として残します。

日本語歴史原典の確認、漢字名の初出、選字者、現地音声との比較は継続課題です。いま読める公式資料に何が書かれているかを明らかにし、その先を推測で埋めずに、今回の暫定案とします。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は万国漢字志 公式サイト・都市篇で公開します。


次回予告|都市篇 第百六十六号

次はニース(Nice)。確認済みフランス自治体の掲載順に従い、現在の漢字用例と日本語での読みを比較します。