万国漢字志

都市篇 · イタリア

万国漢字志 都市篇 第三百三十号|トレント――広場の下のトリデントゥムと「特倫托」――

トレント市の発掘地案内と山東大学の会議報告から、ローマ期の名と現代中国語の用字をたどる。採用名は字形を調整した「特倫托」(改)とする。


広場の下のトリデントゥムと「特倫托」

ロドロン広場の発掘地を案内するトレント市のページには、ローマ時代の脇道と暖房設備のある住居の跡が出てきます。案内の住所は Trento、遺構の説明では Tridentum。同じページの中で、今の街とその下に残る街とに別々の名前が付いています。


歴史表記

市の案内はこの遺構をローマ期の Tridentum に結び付けています。西暦46年のクラウディウス帝の青銅板(通称タブラ・クレシアナ)の翻刻にも、トリデントゥムの人々を指す Tridentinis が見えます。これは住民を指す語の形です。日本語の歴史的な漢字表記は原典未確認です。


日本語での用例

金沢大学の2026年度春募集の協定締結校一覧は、都市名欄に「トレント」と Trento を併記しています。


中国語圏その他の表記との比較

山東大学の研究室は、2011年に研究員が出席した国際会議の報告で、開催地を「特伦托(Trento)」と記しています。ここで確認できるのは中国語の簡体字による都市名の用例です。


二文字・三文字案の比較

特托

中の「伦」を省く二字案です。「レン」に当たる部分の手掛かりが減ります。

特倫托

「伦」を日本語でも用いる「倫」へ調整する三字を本誌は採ります。「倫」は日本語で「リン」とも読めますが、会議報告の字形と一字違います。托は元の音写字として保ちます。

特伦托

会議報告の引用字形は「特伦托」です。本誌の採用形「特倫托」と区別します。「托」の日本語の字音は「タク」で、三字の日本語音から「トレント」は導けません。


万国漢字志の暫定案

現代日本語都市名

トレント(Trento)

所属国

イタリア

暫定制定都市名

特倫托――改

制定状態

暫定制定・原典継続調査

「改」は、現代の用例「特伦托」を土台に、伦→倫と採用字形を本誌が調整したことを示します。出典の引用には元の字形を残します。日本語の伝統的な漢字表記として認定するものではなく、「トレント」の読みを添えます。

ISTATの2024年人口収支確定表では、2024年12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は118,640人です。2025年1月1日初に相当し、自治体コード022205のコムーネ全域を対象とします。同名の自治県やローマ期の都市とは集計範囲が異なります。


採らなかった表記と未解決点

特托は比較案にとどめ、特倫托を本誌の字形調整案として採ります。古名の語源と、日本語の漢字表記の有無は引き続き調べます。


参考資料


編纂綱領と公式サイト

本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。


次回予告|都市篇 第三百三十一号

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