広場の下のトリデントゥムと「特倫托」
ロドロン広場の発掘地を案内するトレント市のページには、ローマ時代の脇道と暖房設備のある住居の跡が出てきます。案内の住所は Trento、遺構の説明では Tridentum。同じページの中で、今の街とその下に残る街とに別々の名前が付いています。
歴史表記
市の案内はこの遺構をローマ期の Tridentum に結び付けています。西暦46年のクラウディウス帝の青銅板(通称タブラ・クレシアナ)の翻刻にも、トリデントゥムの人々を指す Tridentinis が見えます。これは住民を指す語の形です。日本語の歴史的な漢字表記は原典未確認です。
日本語での用例
金沢大学の2026年度春募集の協定締結校一覧は、都市名欄に「トレント」と Trento を併記しています。
中国語圏その他の表記との比較
山東大学の研究室は、2011年に研究員が出席した国際会議の報告で、開催地を「特伦托(Trento)」と記しています。ここで確認できるのは中国語の簡体字による都市名の用例です。
二文字・三文字案の比較
特托
中の「伦」を省く二字案です。「レン」に当たる部分の手掛かりが減ります。
特倫托
「伦」を日本語でも用いる「倫」へ調整する三字を本誌は採ります。「倫」は日本語で「リン」とも読めますが、会議報告の字形と一字違います。托は元の音写字として保ちます。
特伦托
会議報告の引用字形は「特伦托」です。本誌の採用形「特倫托」と区別します。「托」の日本語の字音は「タク」で、三字の日本語音から「トレント」は導けません。
万国漢字志の暫定案
現代日本語都市名
トレント(Trento)
所属国
イタリア
暫定制定都市名
特倫托――改
制定状態
暫定制定・原典継続調査
「改」は、現代の用例「特伦托」を土台に、伦→倫と採用字形を本誌が調整したことを示します。出典の引用には元の字形を残します。日本語の伝統的な漢字表記として認定するものではなく、「トレント」の読みを添えます。
ISTATの2024年人口収支確定表では、2024年12月31日末の国勢調査調整後の住民人口は118,640人です。2025年1月1日初に相当し、自治体コード022205のコムーネ全域を対象とします。同名の自治県やローマ期の都市とは集計範囲が異なります。
採らなかった表記と未解決点
特托は比較案にとどめ、特倫托を本誌の字形調整案として採ります。古名の語源と、日本語の漢字表記の有無は引き続き調べます。
参考資料
- トレント市「Scavi di Piazza Lodron - bottega del vinaio」。冒頭と Indirizzo(抽出10–12、31–33行)。
- クラウディウス帝の勅令(CIL V 5050、Marotta論文所引)。Marotta(2018)印刷222頁、CIL V 5050の引用(抽出422–431行、原物画像は未照合)。
- 金沢大学「部局間国際交流協定締結校一覧」。イタリア、先進予防医学研究科の行(抽出13行)。
- 山東大学通用智能実験室「ACM ICMR 参加報告」。本文第1段落(抽出76行)。
- イタリア下院「Costituzione」。第114条第3項。
- ISTAT「Bilancio demografico e popolazione residente」2024年確定自治体表。P2_2024_it_Comuni.csv、7245行、自治体コード022205、Popolazione censita al 31 dicembre - Totale欄。
- GeoNames:Trento。保存済み都市索引の代表点。
編纂綱領と公式サイト
本稿は万国漢字志 編纂綱領に基づいて調査・選定しています。 都市一覧は 万国漢字志 公式サイト で公開します。
次回予告|都市篇 第三百三十一号
人口選定資料の次の掲載順はペスカーラです。
